2001年6月8日(金)20:28

EUはアイルランドのニース条約否決に遺憾の意を表明

ブリュッセル(ロイター)

欧州連合とEU議長国スウェーデンは、アイルランドのニース条約否決を遺憾をもって受け入れた。しかし欧州連合(EU)拡大の路線は維持するとしている。金曜日ブリュッセルで発表された、スウェーデンのイェーラン・パーソン首相とロマーノ・プローディ欧州委員長の共同声明では、加盟協議は今後も継続される。欧州の拡大という目標は実行に移されねばならない。しかし今回の国民投票は、市民をもっとEUの議論に参加させる必要があることを示している、と述べられている。ニース条約ではEU各国政府が、拡大に備えたEUの機構改革を決定していた。同条約は15ヶ国すべての加盟国で批准されてはじめて発効する。

「拡大はわれわれの大きな目標である」とプローディ委員長の広報官は金曜日の晩、ブリュッセルで述べた。EUのタイムスケジュールによれば、ニース条約は2002年末までに批准を終える予定になっている。その後、第一陣の加盟候補国との加盟交渉も完了し、2004年からは最初の加盟が始まることになっている。

共同声明はまた、プローディ委員長とパーソン首相は、アイルランド政府がタイムスケジュール内のニース条約批准を確実にするためにあらゆる方策をとるものと信ずる、とも述べている。その際、EU議長国スウェーデンと欧州委員会は、アイルランド政府を支援する意向であり、またニース条約の本質部分に変更を加えることなく、同国国民の不安に対処することも考えており、月曜日ルクセンブルクにおけるEU外相会合の席でこの国民投票の結果について最初の議論が行われる、と声明は発表している。

EUの外交筋の伝えるところでは、アイルランドの否決を受けて、同国の国民の懸念に対処するため、同国に関する部分の条約の変更を行うことは可能である。そうすればあらためて国民投票にかけることができ、拡大のタイムスケジュールは守られる、という。

ニース条約は、去る12月にマラソン協議の末、一部はEU各国首脳の激しい応酬を経て、ようやく決定にこぎつけた。同条約は拡大後の閣僚理事会の票配分などを定めている。ニース条約は、可決後もEU加盟国政府の間で「不充分」との批判を受けていた。プローディ委員長の広報官は、ニース条約は完全ではないが拡大の方向への一歩を記すものである。それゆえ批准されることが重要なのである、と述べた。

原題:EU bedauert Ablehnung des Nizza-Vertrag in Irland