2001年6月14日(木) 17:49

シュレーダー首相はEU諸機構の強化の必要性を強調

「行政府と民主的コントロールが必要」− 加盟候補国は加盟能力を示すべき

フランクフルト・アム・マイン(AP)

ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は、あらためて欧州連合の諸機構の強化を訴えた。木曜日、フランクフルト・アム・マインの福音教会会議において、社会民主党党首を務める同首相は、EUの将来を成功へと導く唯一の方策は「ヨーロッパを統治し、議会制度で有効にコントロールすることのできる諸機構」にある。唯一この方法により究極の大目標、すなわち拡大後のヨーロッパを「民主主義、平和および繁栄のとりでとする」という目標を実現できるのである、と語った。

シュレーダー首相は、私はいくつかの国が支持するいわゆる政府間協力という個々の政府間の強化された協力(=先行統合。訳注)が充分だとは思わない、と述べた。「私たちは、ヨーロッパの政治的統率が失われないよう配慮する行政府を必要としているのである。」またそれと並んで、この政府を民主的にコントロールするため、欧州議会を強化することも必要である。「この議会はとりわけ予算権を必要とする」。しかし各国政府も、たとえば第二院の創設などによって引き続き政治的指導に関与しなくてはならない。結局のところ拡大後のヨーロッパにおける可能な財政負担と権限分割の問題を解決する必要があるのである、とシュレーダー首相は主張した。「私たちは、これらすべての問題を、ニースを引き継ぐ2004年の政府協議で決定せねばならないであろう。」

EU拡大に関してシュレーダー首相は、アイルランドの国民投票の結果など、いくつかの好ましからぬ出来事こそあったが、拡大には後戻りはない。しかしいつそれが実現するかは加盟候補国に決定権がある。加盟候補国は、「私たちが制定した産業政策、財政政策、経済政策、環境政策のすべての規則を遵守できる状態にあること」を示す必要がある。私は、2004年の欧州議会選挙では候補国のいくつかが参加できるものと期待する、とシュレーダー首相は語った。「今後、主な仕事は候補国自身が行わねばならない。」

拡大に関する首相発言に対し批判

ドイツ連邦最高裁判所長官のギュンター・ヒルシュは、シュレーダー首相が初めてこのテーゼを首相の身分で語ったと指摘した。ヒルシュ長官は、これまで首相は常に社会民主党党首として発言するに留まっていた。私はシュレーダー首相のテーゼを「まったく建設的なもの」と評価する。フランスがこれにきわめて冷淡な反応を示したのは、ドイツが久しく連邦主義を特徴としているのに対し、フランスは長年中央集権的伝統を保持してきたことによる、と語った。「これは同じ問題を二つのきわめて極端な立場から眺めた見方の相違であって、本当の対立というわけではないのだ。」

フランス外務省のシルヴィー・ゴーラールSylvie Gaulard は、フランスにとってとりわけ問題と思われるのは、シュレーダー首相が機構制度ばかり論じ、「共同の政治」という言葉を決して口にしないところである。首相は、たとえば共同の農業政策など必要ないという前提に立っている。しかしそれ以外では異なる立場がドイツとフランスの強力関係を形作っているのである。「私たちはきわめて異なる立場に立っており、原則的には最初から了解が難しいのである」とゴーラールは語った。

シュレーダー首相の拡大に関する発言に対しては、ポーランドのヤーヌシュ・ライター前大使が批判を行った。「『われわれは準備完了した。あとは加盟候補国が行動する番だ』とは、私にはいささか粗っぽい言い方のように思える。」EUはまだ難しい課題を山のように抱えている、と前大使は批判した。

原題:Schroeder bekraeftigt noetige Staerkung der EU-Institutionen
"Exekutivgewalt und demokratische Kontrolle noetig" - Beitrittslaender sollen Beitrittsfaehigkeit zeigen