2005年6月6日(月)18:09

イギリスの国民投票凍結:EU憲法の棺を閉じる最後の釘

ロンドン(AP)

EUおよび多くの加盟国の度重なる呼び掛けや勧告にもかかわらず、イギリス政府は月曜日、予定されていたEU憲法の国民投票を凍結すると発表した。フランスとオランダの国民投票否決により今の段階で国民投票は意味を失った、とイギリスのジャック・ストロー外相は下院で述べた。今後は来週のブリュッセル首脳会議の行方に注目が集まる。首脳会議では現在の状況や今後の対応が協議される。

イギリス政府の凍結決定の発表前、ポーランドのヤン・トルシチンスキ副外相はトニー・ブレア英首相に対して、批准プロセスから脱退しないよう呼びかけた。イギリス国民が「最後の釘を棺に」打てば他の国でも批准プロセスに対する疑問が生じる、と副外相は警告した。イギリスの凍結にもかかわらず、ポーランド政府とポルトガル政府は当面国民投票の予定を変更する意向はない。ポーランドでは10月9日の大統領選に併せて実施されるものと予測される。

イギリスの国民投票凍結の決定は、政府がフランスとオランダの否決後に熟考期間を置くよう主張していたことから、すでにその徴候が窺えた。イギリス政府は「もし状況が変われば」EU憲法国民投票を実施するという権利を有するものの、「今のところ私たちは続行する意味を認めない」、とストロー外相は語った。

トニー・ブレア首相の広報官は、来週のブリュッセルEU首脳会議で状況を詳しく分析する必要があると述べた。「不確定の時代には反射的に反応すべきでない」。「しばらく時間を置かせていただきたい。考えさせていただきたい」、と広報官は続けた。さらに広報官は、欧州連合はフランスとオランダの国民の否決の理由を検証する必要がある。ブレア首相はグローバル化の時代の欧州経済に対する不安がEU憲法否決の背景にあるという見解だ。「私たちに必要なのは、グローバル化とこれに対するEUの取り組みについて理性的な議論を行うことだ」、と語った。

おそらくブレア首相にとってフランスとオランダの国民投票否決は必ずしも不都合ではなかったであろう。各種世論調査によれば、首相がイギリス国民にEU憲法の重要性を説得できる可能性はほとんどないからである。ICMの調査ではイギリス国民の64パーセントがEU憲法に反対し、賛成はわずか20パーセントに留まっている。

イギリスの保守党の見解ではEU憲法はこれでおしまいである。「私はもう医者ではないが、遺体を見ればすぐ分かる」と保守党のライアム・フォックス外交政策広報担当は国民投票凍結の発表を受けて語った。

フランスとオランダの国民投票による否決は、ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相の見解では、深刻で難しい問題を提起したという。人々は一層民主的で透明なEUを望む一方、それぞれの国民国家の役割強化も望んでいる、と外相はリスボンで政治協議を終えて語った。外相は6月16日と17日のブリュッセルEU首脳会議では「詳細な議論」を行うと表明した。

原題:Der letzte Nagel im Sarg der EU-Verfassung




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