2005年6月18日(土)14:34
ワルシャワ/プラハ/ブダペスト(ドイツ通信社)
EU新規加盟数ヶ国は、決裂したブリュッセルEU首脳会議における西欧諸国の態度に失望感を表明した。
EU新規加盟国の首脳は自らの農業補助金の削減を申し出て、はるかに豊かな国々をEU予算問題の妥協に導こうと試みたが、頑なな「旧」加盟国の態度は彼らの理解を越えた。ポーランドのマレク・ベルカ首相は、首脳会議決裂の責任は「EUの豊かな国々のエゴイズム」にあると述べた。
私はポーランドが受給する農業補助金の一部放棄を申し出て、ポーランドにとってEUが単なる「お金の山」ではないことを、首脳会議決裂直前に示そうとした、とベルカ首相は土曜日ワルシャワに戻って語った。「私たちは合意を阻んだ国々に対して、彼らが最後まで自らの主張に固執したので、模範を示そうとしたのだ」とハンガリーのフェレンツ・ジュルチャーニ首相も強調した。
EUは危機に陥っているが、それは機構制度の危機ではない、とベルカ首相は強調した。現行の予算期間の満了を18ヶ月後に控え、新たな予算計画がまとまらないのは、必ずしも異常なことではないが、「私たちが不安に思うのは人々の間の雰囲気である」。「沈思黙考だけでなく、積極的で真剣な議論も私たちには必要なのだ。加えてEUには指導部が必要だ」、とベルカ首相は語った。
チェコのジリ・パロウベク首相は、EUは「拡大をまだ消化していない」ようだと述べた。交渉の決裂は「大きな失望」である。「トニー・ブレア首相が交渉で主張したことは、二つの速度のEU*につながる」、と社会民主党のパロウベク首相は語った。シリル・スヴォボダ外相は、今EUは「単に共同市場を基盤として存続するのか、それとも連帯の原則を承認する政治的次元を維持したいのか」という選択に迫られている、と述べた。
ハンガリーのフェレンツ・ジュルチャーニ首相も失望を表明した。「あらゆる徴候からしてEUは疲れているようだ」と首相は金曜から土曜日の晩ブリュッセルで語った、とハンガリーのMTI通信は伝えている。「旧来の理念はEUの推進力とはならず、新しい理念はEUを不安にしている」。EUは「どうしたら競争力を獲得しながら社会的団結を保つかという問題に対して解答を見出せない」でいる、とジュルチャーニ首相は語った。
リトアニアのアルギルダス・ブラザウスカス首相も、「残念ながら数ヶ国は妥協の意志がなかった。それゆえ決定を延期せねばならなかった」と語った。エストニアのアンドルス・アンシプ首相は時間を置くよう主張した。「今EUは自己批判の時間が必要だ。フランスとオランダの二つの「否決」がEUの世論に大きな影響を与えているからだ」、とアンシプ首相は国営のETVテレビで述べた。
原題:Enttaeuschung bei EU-Neulingen ueber ≪Egoismus der Reichen≫
*)訳注:「二つの速度のEU」Europa der zwei Geschwindigkeiten とは加盟国の間で統合(深化)の程度が異なるEUのことを指す(「中核EU」Kerneuropaなども類似の概念)。現在、ユーロやシェンゲン協定に見られるように、必ずしも全加盟国が参加していない統合分野も存在するため、厳密には「二つの速度のEU」はすでに始まっているが、これはEUの基本的な方向性ではない。