2005年6月22日(水)16:08

EU危機でブレア首相に対する圧力が高まる

ブリュッセル(AP)

EUをめぐる危機的な状況の中、次期EU議長のトニー・ブレア英首相に対する圧力が高まっている。欧州委員会のジョゼ・マニュエル・バローゾ委員長は水曜日ブリュッセルで、EU中期財政問題の解決にあたっては仲介者の役割を理解し早急な妥協を図るよう、ブレア首相に呼びかけた。さもなければ、EUは「麻痺の危険」があり、これはとりわけ新規EU加盟国とって破滅的な影響を及ぼす恐れがある、と委員長は警告した。一方ブレア首相はあらためて自説のEU予算改革要求に理解を求めた。

イギリスは7月1日にルクセンブルクからEU議長職を引き継ぐ。ブレア首相は『ビルト』紙Bildへの寄稿で、私は異論のあるイギリスの拠出金割引を減額する用意があると述べた。しかしこのお金は貧しいEU加盟国に役立てられ、「正しい政策」のために支出されねばならない。「私たちは、今後とも研究開発、学問、テクノロジー、教育および技術革新に対する予算の7倍ものお金を農業に支出するような予算は望まない」、とブレア首相は主張した。

一方、まもなくEU議長職を退くルクセンブルクのジャンクロード・ユンカー首相は、首脳会議決裂の責任があるとしてあらためてブレア首相を批判した。ブレア首相は頑なな姿勢で、実質負担国のドイツ、オランダ、スウェーデンのEU拠出金減額を阻んだのだ。彼は最初からイギリスの拠出金割引の廃止など念頭にはなく、その金額の固定化しか考えていなかった。私はブレア首相に更なる譲歩として、農業予算削減の可能性を含めて2008年に財政計画の見直しを行うことを提案した、とユンカー首相は語った。

ユンカー議長は欧州議会において議員から鳴り止まない拍手で迎えられた。その際多くの議員は起立した。バローゾEU委員長は農業予算を示唆しながら、交渉においてタブーのテーマはない。だが一度決まった決定は有効でなくてはならない。「欧州連合の成果である全政策を疑問視することは、私には誤った道と考えられる」、と語った。EU加盟国は2007年から2013年の財政計画を先取りする形で、すでに2002年の10月の段階で中期農業予算を決定している。

欧州議会の社会民主党のマルティーン・シュルツ議員団長もブレア首相に対し妥協案を求めた。ブレア首相が首相としてイギリスの立場を主張するのは理解できるが、7月1日以降はEU内で別の姿勢が求められる、と議員団長はドイツ第二放送(ZDF)の番組『モルゲンマガツィーン』で述べた。「7月1日からは議長なのだ」。シュルツ議員団長は、だが妥協が求められるのはブレア首相だけではないと続けた。「私たちがこの危機から脱するためには、EUのいくつかの国の政府も歩み寄りの必要がある。」

シュルツ社会民主党議員団長は今晩アーヘンでドイツのゲルハルト・シュレーダー首相および欧州委員会のバローゾ委員長と会談を行う予定である。(明日)木曜日にはブレア首相が、6ヶ月のEU議長任期中の施政方針をブリュッセルの欧州議会で発表する意向である。

ドイツとポーランドは、欧州連合を危機から救うべくそれぞれが貢献を行う意向である。ドイツのホルスト・ケーラー大統領とポーランドのアレクサンデル・クファシニェフスキ大統領は、ダルムシュタットのドイツ・ポーランド研究所の記念式典でこの意向を強調した。「このEU統合のプロジェクトは良いプロジェクトである。今後も推進せねばならないし、また推進されるであろう」、とケーラー大統領は語った。クファシニェフスキ大統領は、EUはなぜその機構制度が市民からこれほどまでにかけ離れてしまったかを探る必要がある、と述べた。

原題:Druck auf Blair in EU-Krise wachst

a.H.O.




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