2007年6月19日(火)19:27

EU憲法をめぐる論議はエスカレート

ブリュッセル/ワルシャワ(AP)

火曜日、EU憲法の行方をめぐる論議は一層厳しさを増した。ポーランドのヤロスワフ・カチンスキ首相は、我が国とEUに損害を与えているとしてEU議長国ドイツを非難した。欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長はあらためてポーランド政府に対し、もしポーランドが合意を阻むのであれば財政的不利益が及ぶと間接的に警告した。ポーランドのマレク・チホツキ主任交渉官は協議に応じる用意があると強調したが、具体的な妥協線は挙げなかった。

カチンスキ首相はワルシャワで、議長国ドイツはポーランドを孤立させようとしている。しかしポーランド政府の抵抗はEUの決定手続きの改革計画に対するもので、ドイツに対して向けられたものではない、と語った。「あるいはドイツはそう考えているのかもしれないが、もしそれを実行に移すならば、たいへんな考え違いであり、EUに損害を与え、ポーランドに損害を与えることになる。そればかりかドイツは自らの損害を招くと私は考える。」

バローゾ委員長はポーランドに対して、「自らの加盟がEUの存続を危うくするものでないことを新規加盟国が示すのは、彼らの利益にも叶うと考える」と述べた。さらに委員長は、 首脳会議で合意が得られなければ、「連帯のメカニズムの弱体化につながるだろう」と付け加えた。ポーランドはEUの最大の受益国の一つである。

ポーランド政府は、ほぼすべての加盟国政府が支持しているEU決定手続きの改革を、拒否権を行使して阻止すると警告している。ポーランドのチホツキ主任交渉官は火曜日、ポーランド政府はEU憲法案に定められた閣僚理事会における二重多数決の票決原則の変更を求めるとあらためて強調した。

しかし一方でチホツキ主任交渉官は、ポーランド政府の提案している、加盟国人口の平方根を算定基準とする票配分を放棄する用意があると示唆した。しかしその前提条件は、大国の影響を一定限度に抑える新たな算式を見つけることである、と述べた。交渉官はこの目標を「逓減的比例」票配分と称した。加盟国人口の平方根以外に「この原則を満たす方式があれば」、ポーランドは「もちろん議論に応じる用意」がある、と交渉官は語った。

チホツキ主任交渉官のこの発言は、ブリュッセルにおける議長国ドイツの代表および他のEU政府の交渉官との協議の直前に行なわれた。アンゲラ・メルケル首相のEU政策顧問官ウーヴェ・コルゼピウスとラインハルト・ジルバーベルク外務次官は、この協議の席でEU首脳会議の論点をまとめた文書を発表する予定である。

この文書はあらたなEU条約の提案を含む。条約はもはや「憲法」とは称さず、形式にも著しい変更が加えられている、とドイツ政府はすでに先週、他の加盟国政府との予備協議に関する報告書で示唆している。しかしドイツ政府は、ポーランドが批判する票決システムのような中心的内容は維持する意向である。

ドイツ政府はEU首脳会議で、その後条約の詳細を協議する、いわゆる政府間協議への全権委任を取り付けたい構えである。この政府間協議の成功を保証するため、議長国ドイツは条約の本質的内容について首脳会議の場でしっかりと固めておきたいと考えている。しかしそのためにはポーランドの承認が欠かせない。

原題:Schrille Toene im Streit ueber EU-Verfassung




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