2007年6月21日(木)13:21
ブリュッセル(ドイツ通信社dpa)
主要な論点に関する顕著な動きもないまま、EU改革首脳会議の準備協議がブリュッセルで開始された。ポーランドのヤロスワフ・カチンスキ首相は木曜日、持ち票増をめぐる論争で第二次大戦中のポーランドの犠牲者を論拠に持ち出し、人々を驚かせた。
発言権の拡大を求めるポーランドの提案は、第二次大戦とその影響がなければ増加していたはずの人口に基づいている、とカチンスキ首相はポーランドの国営ラジオに述べた。ラジオ局は木曜日、火曜日の首相のこの発言を公式に認めた。「私たちは奪い取られたものを求めているだけだ」とカチンスキ首相はその後インタビューで語った。「ポーランドが1939年から1945年に至る年月を経験しなければ、人口基準から判断して、今日では人口6600万の国になっていたはずである」と首相は述べた。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、まず欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長と交渉の現状について協議した。これより前、メルケル首相はベルリンで加盟国の首脳と一連の電話会談を行い、EU憲法問題の解決に向けて妥協線を模索した。
ドイツ代表部の内部では、EUの票決規定をめぐるポーランドとの論争を唯一の争点と考えぬよう警告の声が上がった。これは問題を十分に説明することにならない。「解決すべき難題は山のようにある」、とドイツ代表部は指摘した。ポーランドは、議長国ドイツが票決規定の修正要求に応じなければ拒否権を行使すると警告している。
ドイツ代表部筋は、イギリスが依然EU基本権憲章の法的拘束力に対して異論を持っていると指摘した。内務政策および法律政策でもイギリスはEUに対しこれ以上の権限委譲を行なわない考えである。
オランダは引き続き、加盟国議会に拒否権を認めるよう要求し、新規EU加盟基準の厳格化を求めた。また公的サービスもEUの厳格な管理下に置くべきでないとしている。またチェコも、加盟国がEUの権限の返還を求めることが認められると、新たなEU条約で明確に規定すべきであると要求している。一方、スペインとルクセンブルクは、EU憲法の合意に過度の変更が加えられるならば、拒否権をもって阻止すると警告した。
EU各国首脳は首脳会談で、将来の欧州連合外相を指す公式呼称をめいめい考えるよう求められた。これはEU条約の変更を図る政府間協議への全権委任に関する12ページの草案から明らかになったもの。この草案は首脳会議の協議の叩き台となるもので、ドイツ通信社dpaにも届いている。草案では「外相」の肩書きの代わりに、カギ括弧つきで《XXX》との文字が入っている。
ルクセンブルクのジャンクロード・ユンケル首相はEU憲法首脳会議の決裂に警告を発した。そうなれば「必然的に二つの統合速度のEUに至る」。数ヶ国は「他の国々抜きで」欧州統合を推進することになろう、とユンケル首相は水曜日、ドイツ第二テレビ(ZDF)の番組ホイテ・ジュルナールheute-journalで語った。
ユンケル首相は、ドイツをはじめとする大国に一層の持ち票を認めるEU憲法案で定められた「二重多数決」の票決原則を強力に弁護した。「二重多数決は健全な理性に従ったものだ」と首相は述べた。
メルケル首相はすべての国の代表団に、政府間協議への委任に関する自らの提案を伝えた。政府間協議は首脳会議で設置が決定され、フランスとオランダの国民投票で否決された憲法の代わりになる新たな改革条約を今年末までに条文化する任務を負うという。
原題:Kaczynski will mehr EU-Stimmen wegen polnischer Kriegsopfer