2007年6月22日(金)22:37
AFP
EU首脳会議でのポーランドの合意阻止の姿勢を踏まえて、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟)は強硬な対応を選択した。首相はポーランド抜きでも新たなEU条約を成立させる意向である。ウルリヒ・ヴィルヘルム首相広報官は、今後EU議長国ドイツは政府間協議に対する他の26ヶ国の共同委任を得るべく全力を尽くすとブリュッセルで語った。政府間協議では挫折した憲法の代わりにEU改革条約の成文化が図られることになる。「ポーランドは秋の政府間協議でEUの合意に後から合流するチャンスがある」とヴィルヘルム広報官は述べた。
議長国ドイツは「繰り返し精力的にポーランドの要求への対応に努め、最後には大きくポーランドに歩み寄った提案を行なった」。しかし提案はポーランド政府に拒否された。このような状況においては、メルケル首相は「EUを足踏みさせない」提案を行なうことになる。「それゆえ私たちは、この首脳会議の行動能力を示す強いシグナルを発することができるよう試みるつもりだ」、とヴィルヘルム広報官は語った。
これより前、合意を目指したメルケル首相の希望は失望に終わった。ポーランドはEU議長国ドイツの妥協案を拒否した。メルケル首相はポーランドに対し大幅な譲歩を提案していた。たとえばポーランド政府が問題視した「二重多数決」によるEUの票決規定の実施を、2009年ではなく2014年に先送りすることなどである。
メルケル首相が首脳会議で政府間協議の招集を決定するためには、単純過半数の賛成で足りる。そのためにメルケル首相はこの日の晩、あらためて全EU加盟国の首脳と会談を行なった。ヴィルヘルム広報官は、首相が合意を目指す新たなEU条約の原案には「この6週間の協議によるさまざまな進展」が盛り込まれることになる、と伝えた。しかしポーランドはその後いつの時点でも合意を阻止することができる。新たなEU条約の採択には政府間協議の全会一致が必要となるからである。
メルケル首相にはポーランドに対し対決姿勢で臨む「ほかに選択はなかった」と欧州議会憲法委員会のヨー・ライネン委員長は語った。また最後の首脳会議で成果を得ることなく議長任期を終えるわけにはいかない。そうなればEUの危機はさらに大きなものになっただろう、とライネン委員長は語った。
ライネン委員長は1980年代にも前例があることを指摘した。当時EUの前身は、イギリスのマーガレット・サッチャー首相の意向に反して、政府間協議を招集した。この政府間協議はその後、欧州統一議定書を策定し、EUの礎を築いた。
原題:Merkel will neuen EU-Vertrag notfalls ohne Polen