2007年6月23日(土)18:49

首脳会議で合意されたEU改革案の要点

ブリュッセル(AP)

EU27ヶ国の首脳は、ブリュッセルで開かれた首脳会議でEUの包括的な改革に合意した。EU憲法の最も重要な要素は新たなEU条約に引き継がれ、今年中に政府間協議で調整されることになる。改革条約は2009年に発効する予定であるが、いくつかの規定は2014年まで発効が延期される。以下に条約に盛り込まれた改革の一覧を掲げる。

・ 新たなEUの代表:2年半任期の大統領(議長)Praesidentが選出され、EUの顔としてEUを代表し、EU政策の連続性を高める。これまでは加盟27ヶ国の首脳が6ヶ月交替の輪番制で議長職を務めていた。

・ 共通の外交政策の強化:EU外交上級代表(現在はスペインのハヴィエル・ソラーナ)の権限を高める。またいわゆる「二重の長」として、従来の職務に加えて、欧州委員会の外交担当委員(現在はベニータ・フェレロヴァルトナー委員)の職も兼務し、欧州委員会の副委員長となる。公式の称号としては、「EU外交安全政策上級代表」Hoher Vertreter der Union fuer Aussen- und Sicherheitspolitikと決まった。

・ 欧州委員会の縮小:2014年に欧州委員会のスリム化が図られる。現在は27ヶ国すべてから欧州委員が出ているが、2014年からは加盟国の3分の2しか欧州委員を出すことができない。しかし輪番制の原則により、すべての国に欧州委員選出のチャンスが公平に与えられるよう保証される。

・ 拒否権の廃止:現在は多くの政治分野でEU加盟国の全会一致が必要とされている。しかし今後は多数決決定となり、もはや1ヶ国が他の26ヶ国を阻むことはできなくなる。加えて、今後はほとんどの決定に欧州議会が加わる。しかし、税金問題、外交政策など他のいくつかの分野では依然全会一致の原則が適用される。

・ 閣僚理事会の票配分:二重多数決の票決原則は2014年11月1日に導入される。これにより決定には加盟国の55パーセント、EU総人口の65パーセントの賛成が必要となる。これにより従来よりも加盟国の人口が配慮されることになる。しかし2017年3月31日までの移行期間中は、どの加盟国も、自らの意に反した決定が行われた場合、ニース条約による従来の票決制度に基づいて票決をやり直すよう求めることができる。また2017年以降も、意に反する決定が行われた場合、特定の条件付きながら交渉の延長を求めることができる。

・ EU基本権憲章:すでに2000年に調印されたEU基本権憲章は新たな条約とともに法的効力を持つ。

・ 補完性の原則:過半数の加盟国の議会が欧州委員会の法案に反対した場合、欧州委員会は法案を再検討しなければならない。法案を変更しない場合は、その理由を記した意見書を提出する必要がある。欧州委員会の意見書とこれに対する加盟国議会の反論は、その後EU閣僚理事会および欧州議会の法案協議で考慮されねばならない。

・ 市民請願:100万人のEU市民が署名により特定の問題に関する法律を要求した場合、欧州委員会はこれを検討しなければならない。

原題:Die wichtigsten Elemente der vereinbarten EU-Reform




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