2007年6月23日(土)14:49
AFP
長時間にわたる文字どおりのマラソン交渉の末、EU各国首脳はブリュッセルで新たな改革条約に合意した。「長い時間がかかった。しかし私たちは希望した成果を挙げることができた」とドイツのアンゲラ・メルケル首相は会議を終えて語った。他の加盟26ヶ国でも、首脳交渉で合意に漕ぎつけたことに対して評価の声が大勢を占めた。最も強く譲歩に抵抗したポーランド政府も満足の意を表明した。
新たな条約は日の目を見なかった欧州憲法に代わるもので、EUの行動能力を高めるものである。新条約は2009年の欧州議会選挙の前にも発効する予定である。議長として最後の首脳会議を終えたメルケル首相は、これでEUは「膠着状態から抜け出した」と述べた。ドイツのフランクヴァルター・シュタインマイヤー外相(社会民主党)は、もし決定が行われていなかったならば、「私たちはばらばらに分裂するという破局を迎えていたところだ」。合意は「EUにとって良いシグナル」である、と語った。
ポーランドのレフ・カチンスキ大統領は、我が国の異議は「相当に」配慮されたと述べた。大統領は「メルケル首相のきわめて友好的な姿勢」を称賛した。
ポーランドの合意阻止の姿勢は首脳会議を破局寸前に導いた。メルケル首相はその間ポーランド政府に対して、やむをえない場合はポーランド抜きの26ヶ国の承認で新たなEU条約を進めると警告していた。
3日間にわたる首脳会議の一番の対立点は、加盟国の55パーセントかつEU総人口の65パーセント以上の賛成が必要と定めたEU閣僚理事会の「二重多数決」の票決規定に対するポーランドの抵抗であった。この問題でポーランドは大幅な延期を勝ち取った。新たな票決規定の導入は2009年ではなく、2014年以降、移行期間を含めれば2017年までに導入されることになる。
もう一つ合意を阻んでいたのは、退任を控えたイギリスのトニー・ブレア首相の抵抗であった。ブレア首相はイギリスの主権に対するどんな介入も認めようとしなかった。EU憲法は重要な改革のひとつとして、EU基本権憲章の法的拘束力を規定している。しかしイギリスは例外条項を設け、イギリスの法律が基本権憲章から完全に独立することを保証させた。
他の重要な改革としては、大幅に権限を拡大したEU外交政策の上級代表職Hoher Repraesentantおよび2年半の任期のEU大統領(議長)職EU-Praesidentの創設、EUの多数決決定のさらなる政治分野への拡大、ならびにオランダの希望を受け、欧州委員会の法案に対する加盟国議会の権限強化である。
原題:EU einigt sich nach Verhandlungsmarathon auf Reform-Vertrag