2008年6月2日(月)17:43
フランクフルト・アム・マイン(AP)
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は欧州中央銀行(ECB)の創立記念日にあたり、通貨同盟を「歴史的な成功」と評価した。「今日3億2千万の人々が同じ通貨で支払いを行っている。人々はこれにより日々何ものかを分かち合い、またこれが欧州のアイデンティティーを形成している」。ユーロは対外的に「世界で大きな発言権を持つ強いヨーロッパの」象徴である、とメルケル首相は月曜日、フランクフルト・アム・マインで行われたECB創立10周年記念の祝典で述べた。
欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長、欧州議会のハンスゲルト・ペッテリング議長、ならびに他のトップ政治家も、フランクフルトのアルテ・オーパー(旧歌劇場)で行われた式典で通貨同盟の成功を称賛した。バローゾ委員長は、ユーロは「ドルと対等の国際通貨」である。通貨同盟のお蔭でヨーロッパ経済は2001年9月11日の同時多発テロやニュー・エコノミーのバブル破産後の株価下落による悪影響を最低限にとどめることができた、と語った。
「エネルギー価格の上昇と最近の金融市場の動向を受け、共通の金融政策に対する課題は減少するどころかむしろ増加している」。それゆえ「ユーロを将来にわたって安定の礎とすべく全力を尽くす欧州中央銀行という機関があることは」ますます心強い。今後とも最高の目標は物価の安定に置かれねばならない。「価格が安定しなければ生活費が上昇し、とりわけ低所得者が脅かされることになる」、とメルケル首相は語った。
現在、ユーロ圏のインフレ率は3.6パーセントと推計され、ECBの目標である最大2パーセントを大きく上回っている。そのためECBは、欧州の輸出産業の度重なる訴えにもかかわらず、政策金利を引き下げず、強いユーロを維持している。
メルケル首相のほか、欧州議会のハンスゲルト・ペッテリング議長も欧州中央銀行の独立性を擁護した。中央銀行の独立性は「通貨政策の決定が政治的利害に左右される」事態を防いでいると議長は述べた。
メルケル首相は、「私たちドイツ人は欧州中央銀行の本拠地であることを誇りに思う」と語った。しかしペッテリング議長は、ユーロが英語圏でほとんど使われていないにもかかわらず、ECBの希望によりフランクフルトでの演説の大部分を英語で行わねばならないことを間接的に批判した。
「私は自らの演説の第1部を英語で行うことにやぶさかでない。私たちの共通通貨は今年の初めから英語圏の2ヶ国で流通しているからである。アイルランドに加えてマルタである」とペッテリング議長は皮肉を込めて語った。しかし完全な英語版の演説は、「10年後にEU内の英語圏の国々がすべて通貨同盟に加盟する」まで控えたい、と議長はイギリスを念頭に語った。
原題:Merkel: Waehrungsunion ist ein Motor der europaeischen Integration