2008年6月19日(木)18:50
ブリュッセル(AFP)
アイルランドによるEU改革リスボン条約の否決から1週間、EU各国首脳は首脳会議で危機の打開策を模索した。欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長は、今優先されるべきは「欧州市民の懸念に対処すること」であるとブリュッセルで語った。ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)はあまり時間を浪費しないよう警告した。しかし具体的な提案は早くとも秋になるものと予測される。首脳会議の開始直前、イギリスはリスボン条約を批准した。
しかし条約は加盟全27ヶ国が批准しない限り発効しない。アイルランドのブライアン・カウエン首相は、先週の国民投票の批准否決の理由について各国首脳に説明する意向である。しかし結論を下すつもりはないと表明している。アイルランドのミホル・マーティン外相も過大な期待を戒めた。私自身は10月中旬の次の首脳会議で解決案が出せるとは考えていない。アイルランドは各国首脳に「進展報告」を発表するにとどまるだろう、と外相は語った。
メルケル首相は、EUは「あらためて熟考の時期を設けること」はできないと述べ、3年前のフランスとオランダのEU憲法否決後にEUが麻痺状態に陥ったことを示唆した。少数の国による中核EUという構想につていも、ほとんどの加盟国が拒否した。
首脳会議の開始直前、伝統的にEUに懐疑的なイギリスがリスボン条約の批准を終えた。これにより27ヶ国中19ヶ国が議会で条約を批准したことになる。アイルランドは国民投票で批准の是非を決定した唯一の国である。アイルランドの否決により、当初の2009年1月1日発効というタイムスケジュールが難しくなった。
市民に近いEUをアピールするため、EU加盟国首脳は今晩まず、燃料費や食料費の高騰と消費者に対する負担軽減について討議する。しかしその取り組みについてEU加盟国の間で意見は一致していない。EU各国首脳は首脳会議の開幕にあたり、スロヴァキアの16ヶ国目のユーロ加盟を承認した。加盟は2009年1月1日の予定であるが、正式決定までには7月8日のEU加盟国財務相理事会の承認が必要となる。
原題:EU-Gipfel in Bruessel sucht nach Auswegen aus der Krise