2008年6月20日(金)17:26

リスボン条約の先行きはまったく不透明

ブリュッセル(AFP)

危機打開を協議したEU首脳会議を経ても、EU改革リスボン条約の先行きは依然まったく不透明である。アイルランドの批准否決から1週間、ブリュッセルで開かれたEU首脳会議は議論を10月に持ち越した。それまでにアイルランドは最初の解決案を策定することになる。ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟CDU)はそれにより、EUの効率性と民主性を高めるリスボン条約批准の「ダイナミズム」が保たれたと見ている。批准手続きの継続が危うい国としてはチェコだけでなく、意外にも再びイギリスが懸念されている。

EUは10月15日と16日にブリュッセルで開かれる首脳会議で、あらためてアイルランドのもたらした危機について協議を行う意向である。アイルランドのブライアン・カウエン首相はそれまでに状況の分析を行うことを約束した。しかし国民投票やり直しの可能性についてはコメントを控えた。メルケル首相は、アイルランドが孤立する事態にはならないだろうと強調した。「アイルランドを含めた解決しかありえない」と首相はブリュッセルで語った。

リスボン条約がEUの決定したように2009年6月の欧州議会選挙までに発効するかは依然不透明である。とりわけ欧州議会はこれを強く求めており、さもないと欧州委員会の縮小計画をめぐり争いが起きると危惧している。メルケル首相はリスボン条約が廃案になればEUの分裂が起きると警告している。

EUは批准期限について合意が得られなかった。アイルランドのほかに7ヶ国がまだ批准を済ませていない。チェコは憲法訴訟のため批准の行方が不透明と見られている。しかしカレル・シュワルツェンベルク外相によれば、チェコ政府は2009年1月1日のEU議長国就任前に批准ができるものと期待しているという。イギリスも最高裁判所に訴訟が起こされているため依然批准の先行きは分からないと、ゴードン・ブラウン首相が認め、出席者を驚かせた。イギリスは上院での承認の後、木曜日に女王エリザベス二世が条約に承諾を与えている。

リスボン条約は27ヶ国に拡大したEUの諸機構や決定プロセスのスリム化を図っている。発効には全加盟国の批准が必要とされる。

原題:Zukunft des EU-Reformvertrags bleibt voellig offen




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