2009年6月19日(金)17:52

リスボン条約に新たなチャンス

ブリュッセル(AP)

EU改革に新たな希望、欧州委員会委員長の再選支持:ブリュッセルで開かれたEU首脳会議は金曜日、アイルランドのリスボン条約批准国民投票の再実施に向けた道を開き、ジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員長の再任を承認した。

アイルランドの国民投票でのEU改革リスボン条約批准否決から1年、同国のブライアン・カウエン首相はブリュッセルで、「私は10月初めに国民投票を実施できるものと考えている」と述べた。これより前、カウエン首相はアイルランド国民の懸念を一掃すべく、条約に付帯条項をつけることで首脳会議の合意を取り付けた。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は交渉の結果に安堵の表情を見せたが、条約は大きなハードルを越えたものの「それ以上でもそれ以下でもない」と述べて楽観論を戒めた。6月30日にはリスボン条約に対するドイツ憲法裁判所の判断が下される。またチェコとポーランドの大統領もまだリスボン条約の批准文書に署名していない。

欧州議会ではバローゾ委員長再任に対する反対が高まる

リスボン条約への新たな期待にもかかわらず、EU各国首脳はバローゾ委員長の再選を現行のニース条約に基づいて行う意向である。メルケル首相は、「夏休み前に選出が行われれば、EUにとって大きな朗報となろう」と述べた。しかし欧州議会からは厳しい反対の声が聞かれる。

「リスボン条約が間もなく批准される可能性があるのに、ニース条約に基づいてバローゾ委員長の再任を決定することは、無用の法的混乱を招く」と欧州社会民主党議員団のマルティーン・シュルツ団長は述べた。緑の党のダーニエル・コーンベンディート議員団長も表決を10月まで待つよう要求した。

懸念の声は自由党系議員団からも上がっている。「私の議員団あるいは議会にはバローゾ委員長の再任に対する明確な賛成多数は存在しない」とグラハム・ワトソン議員団長は述べた。自由民主党(FDP)のアレクサンダー・アルヴァーロ欧州議員はAP通信との電話インタビューでバローゾ委員長の決断力不足を批判した。「彼は5年前と同様、今も指導力に欠ける。」バローゾ委員長の出身である保守系の欧州国民党(EVP)は欧州議会では単独過半数を得ていない。

アイルランド政府に対して主権を保証

表決を秋に延ばした場合、リスボン条約が本当に発効に至るかは確実ではない。しかしアイルランドのカウエン首相は自信を見せた。首脳会議で合意された付帯条項により、「昨年の国民投票を彩った脅し話、作り話、偽りの情報などとは無縁のところで、条約に関する責任ある議論」が可能になる。付帯条項ではリスボン条約がアイルランドに対し、妊娠中絶の合法化やEU部隊への参加、あるいは法人税の引き上げを強いるものではないことが明確に記される。

リスボン条約が発効すれば、付帯条約は後日他のEU加盟国でも批准される必要が出てくる。とはいえ、それには次期EU拡大までの時間的余裕がある。というのもリスボン条約はその段階で修正を余儀なくされるからである。

EU金融監視策では妥協

将来のEU金融監視策をめぐる綱引きでは妥協が図られた。設立予定のEU金融監督庁が法的拘束力を伴う決定を下すことができるという点で、ドイツとフランスの主張は認められた。しかしイギリスの強い抵抗を受け、EU金融監督庁は加盟国の予算権限には介入できないとされた。これはどの国も銀行の救済を強いられないことを意味する。たとえその銀行が他の国々でも営業している場合であっても。

原題:Zweite Chance fuer Reformvertrag von Lissabon




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