2000年6月20日(火)17:57
サンタ・マリア・ダ・フェイラ(ロイター)
外交官の伝えるところによれば、EU首脳会談においてフランスのシラク大統領、ドイツのシュレーダー首相およびイギリスのトニー・ブレア首相の間にEU改革をめぐり意見の食い違いがあることが明らかになった。ドイツとフランスが求めた個々の国同士の一層緊密な協力関係(先行統合)に対してブレア首相は留保を表明した、とEUの外交官は火曜日に述べた。外交筋は首脳会談の席でブレア首相が、二つの速度のヨーロッパが生まれるような事態は避けねばならない、と述べたと伝えている。これに対しシュレーダー首相は、二つの速度のヨーロッパはすでに存在している、と答えたという。
「君はそのことを知っているだろう。なぜなら君はユーロに参加していないのだから」とシュレーダー首相はブレア首相に言った。シラク大統領は、今後も二つの速度のヨーロッパが生まれる、と付け加え、先行して進む国とそれに従う国に分かれるはずだ、先行統合がEU条約の枠内で承認されないのならば、条約外で検討されることになろう、と述べたという。
欧州連合(EU)各国の大統領、首相はフェイラの首脳会談で、先行統合を現在行われているEU改革会議の議題とすることをすでに決定している。改革とあわせて、同会議では閣僚理事会の票配分、多数決決定の拡大、将来の欧州委員会の規模が検討されている。諸改革案は 12月に議長国フランスのもとで可決成立をはかることになる。ドイツ政府は、議長をつとめるフランス政府に対し、全面的な支援を約束している。
改革によりEUは拡大に備える意向である。首脳会談においては政府筋から、先行統合によりEUは拡大後も「指導性を発揮できる」だろう、との意見が出された。先行統合に対する懸念はブレア首相のほかにEU構成国のスカンジナビア諸国もすでに表明している。
原題:Chirac und Schroeder streiten mit Blaier ueber EU-Reformen