2002年3月22日(金)13:34

EU将来像会議は市民との距離を縮めるよう要求

ジスカールデスタン議長:「EUのメカニズムは鈍重で理解困難」−6月に市民団体の公聴会

ブリュッセル(AP)

ヴァレリー・ジスカールデスタン議長によれば、欧州連合は市民との距離を縮める必要がある。「現在のヨーロッパは市民の声を充分聞いていない」と同議長は金曜日ブリュッセルで、EU将来像会議の初会合を終えて語った。将来像会議はこれまでで最も包括的なEU改革の準備を行うことになっている。議長は、二日間の討議では105名の代表からたびたび同じ見解が発表された。「EUのメッセージは伝えられず、メカニズムは鈍重で理解困難である」、と語った。

この認識に基づき、将来像会議は6月の会合で市民団体の代表からヒアリングを行う意向である。その後、経済界、労働団体および社会団体の意見を聞く予定である。ジスカールデスタン議長によれば、将来像会議は4月にEUの使命について討議する意向である。そして5月には、どのようにしたら効率的かつ民主的にその使命を果たすことができるかという点について討論が行われる。

欧州議会を代表して将来像会議に加わっている社会民主党(SPD)所属のクラウス・ヘンシュは、「われわれは一般的な議論に迷い込んではならない。議論を特定の目標に導く必要がある」。将来像会議は「われわれがどこを目指すのかをまず明確にする必要がある」。「その理解に立ってはじめて、われわれは権限分割や決定構造について協議することができるのである」、と勧告した。二日間の会合では、会議のメンバーが欧州の将来像に関する原則的な意見交換を行った。

ドイツの政府筋は将来像会議のスタートに満足している旨を発表した。初めてEUは、各国議会と欧州議会の参加のもとに改革を始めることになる。これまでEUの改革はいわゆる政府間協議のみによって準備が行われてきた。将来像会議は、最大で12カ国の新規加盟国の受け入れ態勢を整えるためのEU改革案を、来年中頃までに提出する予定である。その後、将来像会議の提案は政府間協議に委ねられ、2003年末の可決を目指して、各国首脳の討議にかけられることになる。

原題:EU-Konvent fordert mehr Naehe zum Buerger
Giscard: Mechanismen schwerfaellig und kaum verstaendlich - Anhoerung der Zivilgesellschaft im Juni

〔訳注〕: 今後はEU-Konvent(Konvent zur Zukunft von Europa=「ヨーロッパの将来像に関する会議」)の一般的な訳語を従来の「改革会議」から「将来像会議」に改める。ただし、Reformkonvent (改革会議)、Verfassungskonvent(憲法会議)のように言い換えられている場合は、それに対応した訳語を充てる場合がある。 EU-Konventの訳語については、「諮問会議」(日本経済新聞、朝日新聞)、「(将来像)協議会」(讀賣新聞、東京新聞、共同通信)などとまちまちであるが、フランス革命やアメリカ建国期、あるいは戦後西ドイツの「憲法制定会議」と同じ「会議」Konventであるので、敢えて「会議」の訳語を用いることにする。