2004年3月26日(金)15:46
ブリュッセル(AP)
欧州連合は調和に酔いしれている。金曜日に閉幕した春季EU首脳会議は、二週間前のマドリードの列車爆破テロの暗い影に蔽われたものの、共通の衝撃がEU各国首脳をあらためて一つにつなぎ合わせた。二日間の会談を終えたイギリスのトニー・ブレア首相は、「きわめて強い一体感」を感じたと語った。
この見解はブレア首相ばかりではない。ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相も「マドリードのテロの恐怖を受けて結びつきが強まった」と発言した。ポーランドのレシェク・ミレル首相はテロの影響が「明らかに雰囲気に」窺えたと述べた。EU議長を務めるアイルランドのバーティー・アハーン首相は、「二週間前の悲劇的事件で我々の多くは深く考えるところがあった...我々はみな圧力を受けていたのだ」と語った。
実際この圧力は働いた。遅くとも6月17日、18日の次期首脳会議までにEU各国は欧州憲法を採択する意向である。シュレーダー首相が成果として述べた「事態の打開」が得られたのは、テロの三日後にホセ・マリア・アスナール首相率いるスペインの保守政権が総選挙で敗北したことが大きい。アスナール首相はミレル首相とともに、去る12月の首脳会議では憲法の合意を阻んでいた。
スペイン、ポーランド両国は、閣僚理事会の決定で人口規模に一層の比重を置くという規定を拒絶していた。この欧州将来像会議の取りまとめた憲法草案では、加盟国の過半数およびEU人口の60パーセントの賛成で決定に至ると規定している。これに対し、アスナール首相とミレル首相は両国に人口比以上のウェイトを認めたニース条約に固執していた。
アスナール首相の後を引き継ぐ、社会労働党のホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ次期首相は、選挙の勝利後ただちに、これ以上憲法合意を阻む意志のないことを表明した。最後にはミレル首相も孤立を避けるべく譲歩し、初めて二重多数決制を受け入れる用意を表明していた。
内政問題でも窮地に立っているミレル首相は新聞記者に対して、妥協はとどのつまり降伏ではないのだと語った。シュレーダー首相はミレル首相の突然の心変わりを、きわめて具体的に最近の経験と結びつけ、あらためてテロに言及した。「脅威に晒されているという共通の経験は、ただ抽象的に語るよりも互いを強く結びつけるのだ。」
同じことをドイツのヨシュカ・フィッシャーもたびたび強調した。テロがついにEUにも及んだことは「効率的で民主的で強いEU」の必要性を示すものだ。そのためには憲法が不可欠になる。なぜなら憲法は決定を簡素化し、透明にするからだ。「私の印象では、誰もがこのことを一層強く認識し始めた。これが私の淡い楽観論の根拠だ」と外相は週の初めに発言していた。
今回のブリュッセルの首脳会議を受けて、アイルランドの議長任期中にも欧州憲法を採択する道が開かれた。目標期日は6月末であるが、ドイツなどの国は6月13日の欧州議会選挙前にも交渉を完了させることを期待している。しかしこのシュレーダー首相の期待は、珍しくフランスのジャック・シラク大統領やイギリスのブレア首相の意向に沿っていない。
ドイツのエルマー・ブローク欧州議員が伝えるところによれば、シラク大統領とブレア首相は欧州議会選挙後の憲法合意を望んでいる。シラク大統領は、選挙前に合意に至れば、極右の国民戦線に利用される可能性があると危惧する。フランスは、人口の多いドイツがEU内でフランスより強い比重を占めることを、欧州憲法で初めて受け入れたからである。またイギリスではEU憲法が選挙戦で反ブレアの火種になるからである。
しかし結局のところ正確な採択時期はそれほど重要ではないかもしれない。いずれにせよEU憲法はEU各国首脳の採択を経ても、なお成立にはほど遠いのである。憲法はその後全25ヶ国での批准が必要であり、しかも一部の国は国民投票で批准を行う。ブローク議員は、これが「最も難しい局面になる。我々には、国民に説明し納得させるという大変な仕事が待っている」と語った。
原題:≪Gefuehl der Einheit in Europa≫