2007年3月21日(水)14:52

ユンケル首相:「スリム化されたEU憲法では危機に対応できず」

ルクセンブルク/ハーグ(ドイツ通信社dpa)

欧州連合の創立50周年を祝うベルリン首脳会議は、難題の憲法危機を解決する方策を示せそうにない。ルクセンブルクのジャンクロード・ユンケル首相は、27ヶ国を抱える連合体の行動能力を維持するためには不十分として、最低限の妥協案をきっぱりと退けた。

2005年にフランスとともに国民投票でEU憲法批准を否決したオランダは、EUの利益ではなく加盟国の利益を広範に守るよう主張している。EU議長として今週末、創立50周年を祝う首脳会議のホスト役を務めるドイツのアンゲラ・メルケル首相は、環境保護問題などで政治的機構組織が必要であるとして、憲法問題で打開を図るよう訴えた。

ユンケル首相は、新たなEU憲法条約はEU諸機構の将来の仕組みを定める、単なる票決規則に留まってはならない、とドイツ通信社(dpa)とのインタビューで語った。欧州連合内の改革なしには、もはや将来の拡大もありえない、と首相は述べた。

保守系のユンケル首相は日曜日に発表予定の、公式にはまだ内容を秘された「ベルリン宣言」について、「おそらく私たちは新規加盟国のために欧州連合の門戸を開けておかねばならないと宣言に盛り込むだろう。そしてこの拡大問題を、これから成立を図る新たな憲法条約との関係で考えることになろう」。EU各国首脳は「2009年の欧州議会選挙までに新たな条約を成立させるのが望ましい」と宣言する可能性がある、と語った。

EU首脳のうち最長の在任期間を誇るユンケル首相は、フランスの大統領候補ニコラ・サルコジ内相の主張に反論した。サルコジ内相は、欧州憲法草案のうちEUの諸機構すなわち欧州議会、欧州委員会およびEU加盟国との関係、ならびに票決手続きを定めた第一部のみについて合意を図れれば十分と述べている。これに対し、ユンケル首相は憲法草案の「本質的進展」にも配慮する必要があると主張した。「草案の第三部で達成された、この本質的進展をあっさりと除外することはありえない」と首相は述べた。

憲法草案の第三部では、エネルギー政策、司法政策、内務政策ならびに共通の外交・安全保障政策および社会政策などが定められている。「私は確かにフランスやオランダに歩み寄る必要性を認める」。しかし一方で今度は「フランス国民とオランダ国民が承諾するためには」何を憲法条文に盛り込む必要があるのか、両国は「きわめて明確に」述べる必要がある、とユンケル首相は語った。

火曜日の晩に発表された、欧州憲法論議に関するオランダ議会宛ての内閣文書は、もはや現行のEU諸条約では要求に対応できないと明確に述べている。必須となる改革では、とりわけ補完性の原則、すなわち地方の決定機構の取り込みや、民主的監視の強化が必要となる。「内閣にとっては『さらに良い』EUが重要であり、これは『超国家』Superstaatのイメージを喚起するものではない。民主性と行動能力を高めたEUであり、明確な権限分割を行い、各国議会の影響力を強化したEUなのである」と内閣の文書は述べている。

ドイツのメルケル首相は、6月にブリュッセルで開かれる定例のEU首脳会議でEU憲法問題の打開策を示す意向であるが、有効的な環境保護政策を例にとって、新たな憲法条約の重要性を説明した。首相はエッセンの「ヴェストドイチェ・アルゲマイネ・ツァイトゥング」紙Westdeutsche Allgemeine Zeitungの新聞グループとの間で行なわれたインタビューで、EUが現在エネルギー部門の協力に関して独自の権限を持っていないことを指摘した。2週間前の環境問題首脳会議の行動計画は、EU加盟国首脳がEUの将来のエネルギー権限を見込んで採択したのである。「この行動計画を実行に移すために、私たちはエネルギー政策の権限を確立する必要がある」、とメルケル首相は述べた。

原題:Juncker: Abgespeckte EU-Verfassung kein Mittel gegen Krise




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