2001年5月1日(火) 11:27

EU各国はシュレーダー提案に慎重な反応

祝日の要約版

シュッセル首相は欧州超大国を警戒 ‐ 欧州委員会は詳細の発表を待つ

ブリュッセル/ ベルリン(AP)

ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相が最近行った欧州政治の提案は、EU各国政府および欧州委員会の間で控えめな反響を呼ぶにとどまった。オーストリアのヴォルフガンク・シュッセル首相はヨーロッパ超大国の創設を牽制した。欧州委員会のジョナサン・フォール広報官はこの構想を欧州の将来をめぐる議論に対する重要な貢献と歓迎したものの、詳細に関しコメントするのは時期尚早と付け加えた。

シュレーダー首相は先週末、欧州連合の徹底した改造を提案した。シュレーダーの監修のもとに作成された、秋の社会民主党(SPD)党大会用の基調提案草稿は、欧州委員会を欧州政府に拡充し、閣僚理事会をドイツの連邦参議院と類似の国家議院Staatenkammerに組織替えすることを提唱している。欧州議会は同首相の構想によれば、これまでの権限に加えて完全な予算権を持つことになる。

EU創設国のイタリアはこの提案を肯定的に受けとめた。ウンベルト・ラニエリ外相代理は、この改革案によりEUの民主主義上の欠陥が改善される可能性があると述べた。シュレーダー首相は欧州諸国の連邦Foederation europaeischer Nationenの創設と欧州の輪郭の強化を目指しているが、超国家の創設を狙っているのではない、とラニエリは語った。

フランス外務省の声明では「シュレーダー氏は欧州の将来に関する議論に新たな一石を投じた」と述べられている。デンマークの政権党である社会民主党のクラウス・ラルセン−イェンセン広報官は、欧州委員会を欧州政府に拡充する提案に反対を表明した。これは誤った歩みであると同広報官は月曜日に述べた。

イギリスのトニー・ブレア首相の広報官は、シュレーダー首相の提案にはイギリス政府が同意できる構想と同意できない構想がいくつか含まれていると述べた。さらにアラステア・キャンブル広報官は、イギリス政府は議論を歓迎するものの、個々の点に関しては意見表明を控える、と語った。

ウィーンの通信社APAによれば、オーストリアのヴォルフガンク・シュッセル首相は、シュレーダー首相の計画には、たとえば欧州議会内に国家議院を創設する提案など、オーストリアの構想に合致する部分もあるが、欧州超国家の創設につながることのないよう注意が必要である、と述べたという。

提案は野党にとっても合意可能

ドイツの政策として合意可能と、連邦議会の欧州委員会委員長フリートベルク・プフリューガーは、シュレーダー首相の欧州連合改革の提案を評した。キリスト教民主同盟(CDU)所属のプフリューガーはデュッセルドルフで発行される『ライニッシェ・ポスト』紙において、シュレーダー首相の構想は「以前からキリスト教民主同盟・社会同盟の間で考えられてきた内容に完全に沿う」ものである。この提案は権限分割の改善により欧州に一層の民主主義を実現することになる、と語った。

原題:EU-Partner reagieren zurueckhaltend auf Schroeder-Vorschlag