2001年5月7日(月) 18:14
ベルリン(ロイター)
ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)はヨーロッパ各国の社会民主党に対して、欧州連合(EU)の徹底的な改革を呼びかけた。ヨーロッパはその諸機構を強化し、統合プロセスを一貫して推し進める必要がある、とシュレーダー首相は月曜日、ベルリンにおける欧州社会民主党(SPE)会議の席で述べた。そうしてこそはじめて人々の気持ちと考えを欧州に向けることができる、と先にEU改革提案を発表してEU各国の批判を浴びたシュレーダー首相は主張した。イギリスのロビン・クック外相は、各国議会をEUの諸機構に束ねるよう求めた。
「決定、決定方法および権限分担は多くの欧州市民にとってしばしばよく理解できないものとなっている」。社会民主党は「人間と参画のヨーロッパ」を実現しなくてはならない、とシュレーダー首相は20の社会民主党および社会党の代表約280人を前に訴えた。二日間の会議にはフランスのリヨネル・ジョスパン首相およびEU議長をつとめるスウェーデンのイェーラン・ペーション首相をはじめ、多くのヨーロッパの首脳が出席している。EU諸国の大半は社会民主党が政権についている。
シュレーダー首相は、午前中ドイツ社会民主党(SPD)の幹部会が11月の党大会の基調提案として全会一致で採択したEUの今後の発展に関する自らの提案を再度主張した。この提案は欧州の行政府の強化を求めている。また欧州、国家および地域レベルの任務分割をいっそう明確に規定することが盛り込まれている。去る12月のニースEU首脳会議ではEU各国首脳はあらたな改革論議の開始を決定している。
「われわれは目標を定めて欧州をさらに発展させねばならない」とシュレーダー首相は求め、私は「ヨーロッパが自ら歩むべき道を見出す」と信じている、と述べた。首相は講演原稿から離れ、改革案に対する批判にも触れた。「欧州の統合はドイツのレゾン・デタの一部を成す」。それゆえドイツは全政治的・経済的精力を傾けて統合を推進するつもりである」と強調した。またドイツ国内の議論を踏まえて、社会民主党(SPD)は当然ながら欧州統合の党をもって自任する」と付け加えた。首相は他のヨーロッパの社会民主党に対して、EUの将来に関する議論に批判的に参加するよう呼びかけた。
ドイツ社会民主党(SPD)の基調提案では、EU内の明確な権限分割のほかに、欧州議会の強化も要求されている。これまで権限の集中していたEU閣僚理事会は議会の第二院に改編されることになる。イギリスのクック外相は、各国の議会はEU諸機構に束ねられねばならないと主張し、「各国の国会はわれわれの民主主義の根である」と述べた。イギリスではシュレーダー提案は一部で激しい批判にあった。
ペーション首相は、私は欧州に連邦的構造を導入することに賛成するものではない。それゆえ私はこの点に関してシュレーダー提案に問題を認める。しかし私は、いくつかの政治分野、たとえば農業政策などを再び国民国家レベルに戻すというシュレーダー首相の要求を実質的と評価する、と語った。ジョスパン首相は、私はSPDの基調提案になんら問題を認めないと述べたが、内容について発言することはせず、欧州の将来に関する議論は現在すべての加盟国で始められたところであるから「SPDもいつでも好きなときに意見を表明することができる」と語った。
二年に一度開催される欧州社会民主党(SPE)会議ではドイツのルードルフ・シャルピング国防相(SPD)が6年間つとめたSPE議長を退く意向を明らかにした。後継にはクック外相が候補にのぼっている。会合には、火曜日シュレーダー首相と会談することになっているイスラエルのシモン・ペレス外相の出席も予定されている。会議は火曜日、一般的な形でEU改革を求める内容の「ベルリン宣言」を発表して閉幕する予定である。
原題:Schroeder fordert entscheidene Reform Europas