2001年5月12日(土) 16:23

プローディ欧州委員長はシュレーダー首相のEU改革構想に懐疑的

ベルリン(ロイター)

欧州委員会のロマーノ・プローディ委員長は、ドイツのゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)の提案した重要な欧州政治上の要求に関して、懐疑的な意見を述べた。プローディ委員長は土曜日に先行発表されたニュース雑誌『シュピーゲル』のインタビューにおいて、欧州委員会を「欧州行政府」europaeische Exekutiveへと強化するというシュレーダー提案に歓迎の意向を表明する一方、これまで大きな権限を持っていた閣僚理事会を欧州議会の第二院に改編するという要求については批判を行った。「この点に関しては別の案が、ひょっとしたらより良い案が考えられる。」EU農業政策を国民国家に再委譲するというシュレーダー首相の提唱について、プローディ委員長は、域内市場の破壊につながるので受け入れられない、と述べた。

シュレーダー首相は欧州連合(EU)改革に関するこの提案を、秋の社会民主党党大会の基調提案という形で行った。これは二週間前に発表されている。社会民主党の発表によれば、この基調提案はシュレーダー首相の監修のもとに作成されたという。中でも機構改革に関する要求はとりわけフランスとイギリスの拒絶にあい、15ヶ国の欧州連合にドイツ型の構造を取り入れようとする試みと批判された。EU加盟国はEU諸機構間の権限分割およびEUと国民国家の間の権限確定を2004年の改革会議で決定する意向である。

プローディ委員長はシュレーダー首相を弁護し、ドイツは支配権を求めているとする非難に反論した。「シュレーダー首相の提案は不安を引き起こすような内容ではない。なぜならそこで述べられているのは、『われわれは自分たちの役割を心得ている。われわれは大きな国であるが、少数勢力の連合体の一部であることを欲する』ということに過ぎないのである」。シュレーダー首相はドイツのヨーロッパではなく、ヨーロッパのドイツを志向しているのである、と強調した。

計画中のEU東方拡大の争点を踏まえ、プローディ委員長はスペインとフランスの要求に対する自らの立場を弁護した。スペインは、ドイツとオーストリアの要求する労働者の移動の自由に関する移行期間の承認を、スペインへの財政援助継続の約束と絡めている。これに関しプローディは、スペインのホセ・マリア・アスナール首相は責任ある政治家であり、EU拡大が万が一失敗したらどのような事態を招くか知っているはずだ、と語った。同時にプローディ委員長は、2006年の現行財政計画の期間満了を待たず、スペインの要求を拡大と関連して論議することを認める自らの立場を強調した。しかしドイツはこれを厳しく拒んでいる。

プローディ委員長はまた、フランスの農家が最大の恩恵を受けているEU農業援助金の継続を拡大と関連して論議すべきとするフランスの要求に対しても理解を示す姿勢を強調した。たしかにこれら別々の協議の間に公式の関連付けはないが、「もちろんわれわれは拡大と結びついた農業問題を解決せねばならないのである」とプローディは述べた。

ドイツ政府は、他のEU諸国が東方拡大の承認をそれぞれの国の要求と絡め、拡大を困難にする事態を危惧している。

原題:Prodi skeptisch zu Schroeders Vorstellungen zu EU-Reform