2004年5月16日(日)16:51
ブリュッセル(AP)
欧州憲法を協議したEU首脳会議の決裂から5ヶ月、EU加盟国は拡大EUの新たな憲法条約をめぐる交渉を再開する。加盟25ヶ国の外相は(明日)月曜日に一堂に会し、依然論議のある項目について二日間の日程で協議を行う。しかし、将来の閣僚理事会の決定における二重多数決制の問題は、議長国アイルランドが議題から除外している。
12月のEU首脳会議を最終的に決裂へと導いた二重多数決制の問題については、6月17日と18日にブリュッセルで開かれるEU首脳会議の席で解決がはかられる予定である。さらに欧州委員会の将来の規模についても首脳会議で解決されるものと予測されている。しかしこの問題はまず各国外相の協議に委ねられる。議長国アイルランドの提案では、当初は「一国一委員」の原則が維持されるという。
この案によれば当面欧州委員会は25名の欧州委員で構成され、2014年に18名に削減される。委員は加盟国均等の輪番制による。これに対し、EU将来像会議の憲法草案は、議決権のある委員の数を2009年以降15名に制限すると定めている。この将来像会議案はとりわけ中小国の強い抵抗に遭ったため、現在は検討から外れている。
しかしアイルランド政府筋の伝えるところでは、今の時点で解決を期待するのは「楽観的に過ぎる」という。同じことはどの政治分野で全会一致決定の規定を外すかという問題についても当てはまる。将来像会議の草案では、税政および外交政策などは依然全会一致が課されている。しかし昨年末議長国イタリアは、外交政策でもEU外相による提案ならば特定多数決で決定できるとする新たな条項を付け加えた。
EU外相職はEU憲法で新設される。これまで久しくドイツのヨシュカ・フィッシャー外相がEU外相の最有力候補と目されてきた。しかし新聞報道によれば、スペイン政府は社会労働党所属のハヴィエル・ソラーナ現EU外交上級代表のEU外相就任を求めているという。この問題は懸案の二重多数決制の合意にも役立つかもしれない。スペインはこれまでこの原則を拒否してきたからである。
さらにブリュッセルのEU本部では、EU憲法とは無関係に11月1日発足の次期欧州委員会からEU外相職を創設できないか検討されているという。将来像会議の憲法草案では、EU外相は欧州委員会の副委員長であり、欧州委員会の正委員を務める一方、EU閣僚理事会において加盟国の外交政策を調整し、加えて外相理事会の長を務めると定められている。
しかしこうした問題の解決は早くとも6月のEU首脳会議になろう。EU各国外相は月曜日と火曜日の会合で、まず他の未解決事項についてできるだけ多くの解決をはかる意向である。たとえば安定協定維持の問題で欧州裁判所に訴える一般的訴権を認めるか否か、あるいは、欧州議会には今後もEU年間予算案の最終的承認権を持たせるのか否かという事項である。外交筋の伝えるところでは、EUの目標として物価の安定を憲法に盛り込むことが確実という。
おそらくEU各国外相は5月24日に再度ブリュッセルで特別会合を開き、さらなる問題の解決をはかるものと見られる。定期外相理事会は、EU各国首脳が打開を目指す首脳会議直前の6月14日にルクセンブルクで開かれる予定である。
明確なのは、EU憲法が加盟全25ヶ国で批准される必要があるということである。この間、20ヶ国の批准が得られた段階で憲法条約の発効が認められないかという意見が出たが、すでに否定されている。中でもブリュッセルのEU本部が懸念するのが、EU憲法を国民投票にかけるというイギリスのトニー・ブレア首相の発表である。イギリス国民が否決すれば、憲法条約は危機に陥る可能性がある。
原題:Ringen um EU-Verfassung in neuer Runde