2004年5月28日(金)13:19

ドイツではEU憲法の国民投票は実施されない模様

ベルリン(AP)

ドイツではEU憲法を問う国民投票は実施されない模様である。社会民主党、緑の党、キリスト教民主同盟・社会同盟の政治家は金曜日連邦議会で、国民投票の実施とそのために必要な基本法の改正を求めた自由民主党の提案に反対の姿勢を示した。EU憲法は予定通り議会での批准で行われるべきであるとヨシュカ・フィッシャー外相は述べた。しかし、社会民主党と緑の党の議員は全ヨーロッパ統一の国民投票には支持を表明した。

基本法(憲法に相当=訳注)の改正には連邦議会と連邦参議院で三分の二の多数が必要とされる。自由民主党のギド・ヴェスターヴェレ党首は、欧州憲法は国民の承認を必要とする。基本法自体、たとえば州の合併の場合には住民に意向を問わねばならないと規定している。ドイツのEU編入はそれとは比較にならないほどの重要性がある、と主張した。

自由民主党のヴェルナー・ホイヤー外交問題担当は、自由民主党はEU憲法に賛成であり、これに対し国民の支持を求めるつもりである。国民が否決する可能性があるなどという論拠は間違っている。国民の代表がこの問題に確信を持っていれば、人々の賛同を得ることもできるはずである、と語った。「私には国民に対する不安があるように思えてならない。」

ヨシュカ・フィッシャー外相は国民投票を拒否する意向をあらためて述べた。従来どおり議会が批准の権限を持つべきである。EU憲法の交渉は重要な進展を見せ、今や「成功裡に完了する真のチャンス」を迎えている。論議のある二重多数決制の問題ならびに他の未解決の問題も基本的には解決されたか、あるいは合意間近である、と緑の党所属のフィッシャー外相は語った。

社会民主党のリューディガー・ファイト議員は自由民主党の国民投票案を拒否する理由として、基本法を改正した場合それぞれの国家機関の所轄事項を明確に区別するのが難しくなると主張した。

キリスト教民主同盟のペーター・ヒンツェEU問題担当は、国民投票は世論を煽動する者や「政権に対する怒りをヨーロッパに向けてぶちまけ」ようとする者に、格好の舞台を提供することになる。また国民投票はあたかも選択肢があるかのように国民に思い込ませる恐れもある。「憲法のないEUは後退であり、EUすべての市民にとって不利益にしかならないのだ」。それゆえ議会が憲法を批准すべきである、とヒンツェ議員は主張した。

しかし社会民主党と緑の党の議員は、EUレベルで同時統一的に批准投票を実施することには賛成の意向を表明した。緑の党のアンナ・ルールマン議員は、こうすればこの問題が個々の国で政争に利用されるのを防ぐことができるので、私は賛成する、と述べた。連邦議会のヴォルフガング・ティーアゼ議長もバイエルンラジオ放送で「魅力的なアイディア」と発言した。これが実施されれば、「新たな欧州の一体感のような感情も」生まれるかもしれない。個々の加盟国レベルでの国民投票は、それぞれの政権にお灸を据えようという誘惑が強くなるので、拒否すべきである、と語った。

キリスト教社会同盟のマルクス・フェルバー欧州議員もドイツ第二放送(ZDF)でEUレベルの批准投票に賛意を示した。「国ごとの個別投票には反対である。批准投票はある一日に全ヨーロッパで同時に実施されるべきである。そうなればまじめなものとなる」と議員は語った。

原題:Wahrscheinlich kein deutsches Referendum ueber EU-Verfassung




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