2005年5月19日(木)15:07

ドイツ、フランス、ポーランドの首脳はEU憲法の再協議に反対

ナンシー(AP)

ドイツ、フランス、ポーランドの首脳はEU憲法の再協議に断固反対する姿勢を表明した。そのような手段は、たとえフランスの国民投票で否決となっても、「まったくの幻想」にすぎない。「EU憲法の再協議を始めるなどという可能性はかけらもない」。この点では出席者全員が合意している、とドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は木曜日、ナンシーで開かれた三ヶ国の首脳会談を終えて語った。

フランスのジャック・シラク大統領は、EU憲法の改訂を望む人々について「現実感覚の欠如」を批判し、法的観点からも政治的観点からもB案はありえないと述べた。ポーランドのアレクサンデル・クファシニェフスキ大統領もこの立場を支持した。

今回三ヶ国の首脳が一同に会したのは、欧州統合を進めるために1991年に設立された、いわゆる「ワイマール三角協議」Weimarer Dreieckの枠組みである。2007年から2013年のEU予算計画については歩み寄りが得られなかった。

5月29日のフランスの国民投票はEU憲法発効の最大のハードルと目されている。最新の各種世論調査によれば、反対がわずかにリードしている。シラク大統領は、国民投票でのEU憲法否決は独仏の友好関係を損ねるものではないが、両国が担ってきた欧州統合の推進エンジンには悪影響が及ぶだろう、と語った。「これは明日の欧州にとって深刻な危機である。」

シュレーダー首相はEU憲法を「およそ考えられる限り最善の妥協案」と評した。首相はナンシー中心部のスタニスラフ広場でおよそ1,000人の聴衆を前に演説を行い、憲法に賛成票を投じるよう「心から」お願いするとフランス国民に訴えた。というのもEUは理性だけではなく、「いつも心の問題でもあった」からだ、と語った。

ドイツの連邦議会は先週、圧倒的多数でEU憲法を承認している。またフランスの国民投票の二日前に行われる連邦参議院での批准も確実と見られている。ポーランドでは今秋国民投票が予定されている。ポーランドはフランスとは対照的に、国民の多数がEU憲法を支持している。クファシニェフスキ大統領は、フランスの国民投票の否決はポーランドの欧州統合懐疑派の伸長を招く恐れがあると述べた。「21世紀のEUの積極的な建築者として、私たちにはフランスが必要なのだ。」

EUの財政問題ではシュレーダー首相とシラク大統領が、EU予算を域内総生産の1パーセント以内に留めるとのこれまでの主張を崩さなかった。シュレーダー首相は、欧州委員会の要求する増額案ではドイツの拠出金がこれまでの220億ユーロから2013年には420億 ユーロへとほぼ倍増すると指摘した。「そんなお金があればEUのために支出もしよう。だがその持ち合わせがないのだ」。「すべての望みを叶えるためにやみくもに上積みするなどということは、EUのどの国もできない」、と首相は語った。

EUの実質受益国に含まれるポーランドのクファシニェフスキ大統領は、「今回の私たちの協議でこの問題が依然合意を得られないことが明らかになった」と認めた。予算の緊縮だけでなく、経済的に弱い国々との連帯も「きわめて重要」である、と大統領は強調した。

EUの財政計画やフランスのEU憲法国民投票の問題以外に、ロシアとの関係もナンシー首脳会議の議題となった。シュレーダー首相とシラク大統領は、EUがロシアとの関係を引き続き強化することを主張した。EUの東方拡大は、この大きな隣国と「不安なく」付き合うという歴史的機会を提供した、とシュレーダー首相は語った。

原題:Dreier-Gipfel gegen Neuverhandlungen ueber EU-Verfassung




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