2005年5月27日(金)17:54
ベルリン/ブリュッセル(AP)
フランスの国民投票を二日後に控えて、EU憲法はドイツ議会のハードルを越えた。連邦参議院は金曜日、ほぼ全会一致で憲法条約を承認した。棄権はメクレンブルク・フォアポンメルン州のみであった。速やかなドイツの批准はフランス国民に対するシグナルと見られている。フランスのジャック・シラク大統領はドイツのゲルハルト・シュレーダー首相に書簡を送り、お祝いの言葉を伝えた。一方キリスト教社会同盟(CSU)のペーター・ガウヴァイラー議員はカールスルーエのドイツ憲法裁判所に異議を申し立てた。
批准文書はローマのイタリア政府に寄託する前に、なおホルスト・ケーラー大統領の署名を必要とする。「貴議会の憲法条約承認は、ドイツの欧州統合に対する深い認識を示すものである」。フランスの国民投票を直前に控えてドイツの決定は特別な象徴的意味を持つ、 とシラク大統領は書き送った。
日曜日の国民投票では4200万のフランスの有権者が欧州憲法への賛否を求められる。最新の各種世論調査によれば、EU憲法反対が54パーセントから55パーセントと多数を固めている。シラク大統領は木曜日の晩、あらためてドラマチックな言葉で国民に賛成を呼び掛けた。「日曜日には私たちひとりひとりの手にフランスの運命の一部が握られている」と大統領は訴えた。金曜日の晩にはゲルハルト・シュレーダー首相とスペインのホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテーロ首相が、再度フランスでEU憲法への支持を求める意向である。
EUもドイツ連邦参議院の欧州憲法承認を、フランスの国民投票のみならず、来週に行われるオランダの国民投票へのメッセージとして歓迎した。EU憲法は加盟全25ヶ国で批准されないと発効に至らない。
否決の場合でも当面各国での批准手続きが進められるものと予測される。ブリュッセルの欧州委員会はフランスの国民投票再実施の可能性も否定していない。フランスのミシェル・バルニエ外相は『フランクフルター・ルントシャウ』紙Frankfurter Rundschauに、再度の国民投票は10年後には考えられるかもしれないと述べた。外相はまた『ケルナー・シュタットアンツァイガー』紙Koelner Stadt-Anzeigerでフランス国民の反対姿勢について解説した。「私たちは市民のためにEUを構築した。しかし市民抜きで。」
各州の代表で構成されるドイツ連邦参議院での採決前、参議院議長を務めるブランデンブルク州のマティーアス・プラツェック首相は、EUの良い未来に向けた一里塚としてEU憲法を評価した。議長はフランスに向けて「おそらくこれ以上良い憲法条約はない」と警告した。
バイエルンのエトムント・シュトイバー州首相はEU憲法をEUの大きな平和プロジェクトの礎石と評した。シュトイバー州首相も、フランスの国民投票が最後には成功裡に終わるとの期待を表明した。
原題:EU-Verfassung in Deutschland ratifiziert Zweiter Ueberblick
訳注:これで批准を完了した国はリトアニア、ハンガリー、スロヴェニア、イタリア、ギリシャ、スロヴァキア、スペイン、オーストリア、ドイツの9ヶ国となった。またベルギーも上院・下院の批准を終え、地域議会を残すのみとなった。