2005年5月29日(日)14:00
アムステルダム(AP)
EU憲法の批准を問う国民投票を三日後に控えて、オランダのヤン・ペーター・バルケネンデ首相はテレビでEU憲法への支持を訴えた。憲法はEUに一層の民主主義をもたらす、と首相は賛否両陣営が出演したテレビ討論で述べた。(今日)日曜日のフランス国民投票の結果はオランダの世論にも影響を与えると見られており、その行方に注目が集まっている。
数週間前からオランダではEU憲法反対派が優勢となっており、一時は60パーセントにも達した。しかし最近では賛成が若干盛り返している。ベン・ボト外相は日曜日、国民に対して他人の影響を受けぬよう呼び掛けた。「我々オランダ人は、これまでいつもしてきたように、またこれからもそうするように、自らの手で自らの決定を下すべきである。」
フランス同様オランダでもEU憲法の論議は憲法条文のみをめぐるものではない。憲法反対派はむしろ政府に対する反対を表明している。「抗議の投票が憲法そのものよりはるかに大きなウェイトを占めている」と政治参加センターのエディー・ハッベン・ヤンセン副所長は述べる。「反対派にはいろいろな論拠がある。政府に対する不信やユーロの問題、さらにはトルコのEU加盟問題である。経緯は感情的なものであって理性的なものとは言えない」。2001年9月11日のテロ、経済、政治的状況、反体制精神などと関係しているのだ、と語った。
バルケネンデ首相は土曜日、オランダ国民の否決は欧州統合の先駆者としてのオランダの名声を損ねると警告した。首相は『アルゲメーン・ダーグブラッド』紙Algemeen Dagbladに、EU各国首相はオランダ国民の否定的姿勢に驚いている。なんといってもオランダはこれまで常に統合のエンジンとなってきたのだから、と語った。土曜日に発表された世論調査によれば、51パーセントがEU憲法に反対しているという。反対は一週間前には53パーセントあった。また賛成は39パーセントで、一週間前の36パーセントから増えている。
2002年5月に暗殺された大衆迎合主義者ピム・フォートゥインの支持者を基盤とする、無所属のヘールト・ヴィルダース議員Geert Wildersは、オランダ国民に対してEU憲法に反対票を投じるよう呼び掛けた。「トルコが問題なのではない。オランダ国民は独自の国旗や大統領や国歌を備えたEUなどには関心がないのだ。我々は我々だけで誇りを持っているのだ」。EU憲法は国家主権をブリュッセルに委譲し、納税者の負担で官僚主義や役人を増やすだけだ、とAP通信に語った。
EU憲法支持派はフランスの賛成を望んでおり、それがオランダの賛成キャンペーンの後押しになると期待している。そのひとりが自由党のアヤーン・ヒルゼ・アリ議員である。彼女はテーオ・ファン・ゴッホ監督の映画台本を書き、同監督が殺害された後には、同様に殺害の脅迫を受けた。この映画ではイスラムの女性の役割が批判されている。しかし同議員は、イスラムに関する議論をEU憲法国民投票に結びつけることについては厳しく否定している。同議員はむしろフランス政府とともに国民投票の行方を懸念している。「私はフランス国民が賛成するものと思う」。「これはオランダの賛成の可能性を高めてくれる」。否決はオランダに損害をもたらす。「憲法は協力関係を改善し、EUをまとめてくれる。統一欧州という理念は私にはたいへん好ましく思える」、とアリ議員は語った。
原題:Balkenende wirbt fuer EU-Verfassung