2006年5月27日(土)19:50
ウィーン(AP)
凍結中の欧州憲法の活性化が図られるのは早くとも2007年の夏になる。EU各国外相はウィーン郊外のクロスターノイブルク修道院で土曜日から二日間の非公式会合を行い、この方針で合意した。オランダのベン・ボト外相はこの日の晩、「私たちは熟考の期間をもう1年延長する必要がある」と語った。
これより前、ドイツのフランクヴァルター・シュタインマイヤー外相も「熟考の期間を2007年夏まで延期する」よう主張していた。外相は議論の中で積極的な対応を求めた。世界的にはEUは「依然モデルと見なされている。私たちはここから少しばかり自信を汲み取るべきだ」。憲法問題に対してもEUは「新たな自信を抱いて臨む」べきである。憲法はEUに「将来の政治を成功に導くのに必要な手段を与えてくれる」。しかしEUは時間をかける必要がある、と代表筋はシュタインマイヤー外相の発言を伝えた。
1年前のフランスとオランダの国民投票によるEU憲法批准否決を受けて、EU各国首脳は「熟考の期間」を設けた。これは6月に満了する。各国外相は次の首脳会議で、この期間を延長するよう提案する意向である。シュタインマイヤー外相は、1年経たなければEUは共同の対応を決定できないと述べた。フランスでは来年春に大統領選挙が、またオランダでは議会選挙が控えている。この選挙前に両国がEU憲法批准に向け、新たな動きを見せることはあり得ないと考えられている。
ルクセンブルクのジャン・アッセルボルン外相は、「2007年6月に実質的な施策に着手できるよう」、6月15日と16日の首脳会議で具体的なタイムスケジュールを示すよう求めた。「2009年の憲法の発効に向けて私たちが準備を整えられるよう」、2007年上半期の議長国ドイツがイニシアチブを取ってくれるものと期待している、とアッセルボルン外相は語った。
シュタインマイヤー外相も、ドイツは議長国として「批准手続きの進め方について現実的提案を行うよう」委任されると思うと述べた。しかしイギリスのジェフ・フーンEU担当相は具体的タイムスケジュールに関しては何も決まっていないと主張した。「こうした議論が行われるのは結構なことだ」。「だが万事正しく行うためには、時間をかける必要がある」。どう進めるかについてはまだ合意がない、とフーンEU担当相は述べた。
イギリスはフランスとオランダの国民投票否決を受けてEU憲法国民投票の計画を無期延期した。これまで批准を済ませたのはドイツを含む15ヶ国である。フィンランドは今年上半期の議長国任期中に批准を行う意向である。チェコ、デンマーク、アイルランド、ポルトガルは国民投票の計画を中止した。
2009年が憲法発効の期日としてたびたび言及された。この年には欧州議会の新たな任期が始まり、新しい欧州委員会が発足する。憲法条約のどれほどの部分をそれまでに実施に移せるかは分かっていない。しかし、議長を務めるオーストリアのウルズラ・プラスニク外相は、このような「つまみ食い」には反対の意向を表明している。ドイツ政府もこれには反対している。
新たな拡大ラウンドに対し欧州市民の疑念が深まっていることを踏まえ、EU各国外相はEUの境界についても討議する意向である。EU議長を務めるオーストリアのヴォルフガング・シュッセル首相は先日、ブルガリアとルーマニアの加盟後はひとまず拡大に終止符を打つよう求めた。
原題:Neue Impulse fuer EU-Verfassung erst 2007
訳注:2009年の発効については、すでに1月19日に欧州議会が決議している。またEU憲法の一部を先行承認する案はフランスのサルコジ内相(1月12日、2月16日)、イタリアのプローディ首相(4月12日)などが主張している。いずれも同日のニュースを参照のこと。