2007年5月10日(木)12:04

欧州議会憲法委員長はEU憲法の分割を提案

ブリュッセル(AP)

EUの将来を決める首脳会議を6週間後に控えて、欧州議会憲法委員会のヨー・ライネン委員長は提案を行なった。分厚い憲法草案を分割し、新たな味付けを加えることで議論のある草案を口当たり良くしようというのが、社会民主党出身のライネン委員長の考えである。委員長は木曜日ブリュッセルで、重要な修正点としてEUの環境保護政策と社会的EUに関する議定書を補足として付け加えるよう提案した。

それ以外の点ではこれまでの憲法草案に内容的な変更を加えないものの、もっと分かりやすい形にする意向であるという。すなわち、ほぼ500ページに及ぶ憲法条文の最も重要な項目については、全70条の「欧州基本条約」Europaeischer Grundvertragにまとめる。大半が既に効力を持つEU法に関係する、残りの326条については、「EUの政策に関する条約」Vertrag ueber die Politiken der EUとして別立てにする考えである。

環境保護議定書の追加は、深刻な地球温暖化に関する最近の認識を踏まえたものである、とライネン委員長は語った。「効果的な環境保護はEU横断的な課題であり、その解決のためにはEU諸条約における明確な法的基盤が必要となる」。社会的EUに関する議定書には「たとえばEU全体の最低賃金規定など、最低社会基準の導入」などの目標を採り入れることが考えられる、と委員長は述べた。

だがこうした要求はとりわけ東欧で強い抵抗にあう恐れがある。ライネン委員長も「実際、もし検討されることになったら、社会的EUに関する議定書が最も難しい問題となるだろう」と認めた。しかし「人々の懸念や不安に対処する」必要がある、と委員長はフランスを念頭に語った。フランスでは、EU憲法について新自由主義的(ネオリベラル)との批判が上がり、国民投票で批准が否決されている。

「基本条約」という新たな名称は、EUが独自の憲法によって一種の超国家になろうとするのではないかという、オランダやイギリスなどの国々の懸念を払拭するものである。ライネン委員長は両国に対するさらなる譲歩として、EU基本権憲章を補足に回すことを考えている。その場合本来の条文には、基本権憲章が法的拘束力を持つという指示のみを入れることになるという。

ライネン委員長が提案した「基本条約」はEU諸機構の包括的な改革を定めた、従来の憲法草案の第一部に対応している。この改革は27ヶ国に拡大した欧州連合の行動能力と民主性を高める目的がある。

憲法条約を機構改革の部分のみに縮小することについては、すでにフランスのニコラ・サルコジ次期大統領が選挙戦で主張していた。しかしライネン委員長は、他の条文をすべて放棄する−委員長はこれを別の条約にするよう勧告しているのだが−ことは、機構改革が関係しているがゆえに問題があると述べた。加えてサルコジ次期大統領が削除を望んでいる第三部には、共同のEUの宇宙飛行政策に関する規定など、いくつかの新しい項目もある。「私は最大公約数の条約Maxi-Vertragを望んでおり、サルコジ氏の出発点は最小の条約Mini-Vertragだ」、と委員長は説明した。

原題:SPD-Europaabgeordneter schlaegt Aufteilung der EU-Verfassung vor




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