2008年5月23日(金)12:40
オスナブリュック(AP)
欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長と欧州議会のハンスゲルト・ペッテリング議長はEU改革リスボン条約の意義を称えた。「リスボン条約は世界におけるEUの役割を強化し、EUの行動能力と透明性を高めるものだ」とバローゾ委員長は金曜日、ボンで開かれた第97回カトリック会議の席で語った。この直前、ドイツ連邦参議院はベルリンで、欧州連合の歴史上最も包括的な改革となるリスボン条約に承認を与えた。
「欧州連合は単なる共通市場に留まらない。それは何よりも価値共同体なのだ」とバローゾ委員長は述べた。「私たちは繁栄と多様性の中でともに一つに結ばれた共同体なのだ」。しかしEUの役割自体が目的なのではない。むしろ世界の他の地域に模範となることが目的なのだ。文化間の対話は欧州と世界の平和にとって決定的な重要性を持つ、と委員長は付け加えた。
「私たちは協力という新たな文化を必要としている」。「多様性の宥和」という全キリスト教徒の概念はこれに関して良い模範となる、とバローゾ委員長はカトリック会議を踏まえて語った。キリスト教徒もEUの目標と価値のために尽力することが重要だ。「主はわたしたちを広い所に導き出す」*というカトリック会議のスローガンは、「欧州統合プロジェクトの地平を拡大し、私たちの価値を世界で守り伝える」よう誘うものである、と委員長は述べた。
ペッテリング議長は、リスボン条約は民主主義の拡大を可能にすると述べた。「今日欧州議会はかつてないほど大きな発言権を持っており、欧州市民のために役立っている」。これからは人々の心をつかむことが求められる。なぜなら「人々がともに道を歩もうとしなければ」EUを良い未来へと導くこともできないからである、と議長は語った。
バローゾ委員長同様ペッテリング議長もEUの平和的使命を強調し、文化間の対話を推進するよう主張した。イスラム系のテロにもかかわらず、本質的に平和的な宗教であるイスラム教に対し、敬意を払わねばならない。しかしその一方で、アラブ世界で迫害されたキリスト教徒のために声を上げる必要がある。イスラム教徒がドイツで自由に信仰を実践できるように、トルコのキリスト教徒にも同じことが認められねばならないのだ。「寛容は一方通行ではない」、とペッテリング議長は主張した。
ペッテリング議長は人権問題に関してチベットの状況に触れ、中国の首都北京で開かれるオリンピックの開会式をボイコットする可能性があると警告した。「私たちはチベット問題を議題にし続けねばならない」。「私たちはダライ・ラマを擁護し、チベット人が自らの文化を守ることを擁護する」。もし今後数週間のうちに変化が見られなければ、EUの政治家は開会式への参加を取りやめるだろう、と議長は警告した。
原題:Barroso und Poettering wuerdigen EU-Reformvertrag
*訳注:詩篇18編20節「(主は)私を広い所に導き出し…」より。