2000年5月25日(木)
ベルリン 5月25日(ロイター)
ドイツは、12月のEU政府間協議までに欧州連合(EU)内の権限分担と公的・法的分野の補助金に関し、明確な規定を定めるよう強く求めている。木曜日ベルリンで行われた欧州委員長ロマーノ・プローディとの会談において、各州の州首相は、州首相会長ヘニング・シェルフ(社会民主党)ブレーメン市長によれば、この件で進展が得られたというものの、詳細についての合意には至らなかったという。プローディ欧州委員長は、欧州連合、国家および地域の所轄事項は東方拡大との関連からも新たに定め直されねばならない、と述べ、公的・法的分野における補助金についても明確な基準が必要である、と語った。
シェルフならびに外務政務次官クリストフ・ツェーペル(社会民主党)は、連邦と諸州はこの問題では同一歩調をとっていることを強調し、「EUに対する共通の立場の具体化は、ゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)を交えた次回6月15日の州首相会合で行わねばならない」と述べた。バイエルン州首相エドムント・シュトイバー(キリスト教社会同盟)は諸州を代表し、「EU内の権限の画定は欧州連合の東方拡大の前に定めておかねばならない」と要求。「その際、地域はより多くの任務を引き受けねばならない」と語った。
このような権限分担の画定は12月のニースでのEU政府間協議までに行われねばならない、と諸州は要求した。「諸州が連邦参議院で、東方拡大の基礎となる新たなEU条約の批准に対しどのような態度で臨むかは、これにかかっている」とシュトイバーは述べた。しかしシェルフはまた、これは条約を阻止するという威嚇ではない。むしろ諸州とプローディ委員長は「相当の歩み寄りを示した」のだ、と言明した。
プローディは「私もEU内の権限分担を明確に規定することに対し関心がある。その場合、最も適切に遂行できるレベルに任務が委ねられるべきである。もしこれがうまくゆかない場合は、欧州連合は分裂漂流するおそれがある。所轄事項一覧はこの数ヶ月中にも作成しなくてはならない。計画中のEU拡大により、自ずと今後、国家および地域へ一層権限を委譲することが必要になる」と語り、「我々は新たな役割分担を定める必要がある、と確信している」と述べた。
公的・法的企業に対する補助金の許容範囲の問題でもプローディは明確な規定を求めている。「資金供与に関する明確な基準を設定し、当該の会社に法的安定性を与えることが肝要なのである。しかしこれは数週間ではなく数ヶ月を要する案件である」と同委員長は語った。現在のEU条約は、同委員長の見解では、変更する必要はないという。
プローディとは対照的に、ドイツはこの件に関しもちろんEU条約の変更もありうると考えている。プローディとの会談の出席者は、欧州委員長が公的・法的企業への補助金の許容範囲に関し、二つの主要基準として補助金の額と企業の経営規模を適用することを提案した、と補足した。「たとえばある貯蓄銀行の経営規模が一定の枠内であれば、明確な基準にのっとった限度内の補助金支給は合法とされる」という。
シュレーダー首相は先日欧州委員会に対し、公的・法的分野の補助金監査における欧州委員会の立場を改めるよう要求したばかりである。貯蓄銀行や公共近距離交通のようなドイツの「公的生活供給」システムには変更を加えさせない、と首相は述べた。欧州委員会とドイツはとりわけ、西ドイツ地方銀行のような地方銀行に対する資金援助やドイツの貯蓄銀行制度のような公的・法的組織に関して係争中である。
原題:Deutschland draengt EU zu Aufgabenabgrenzung