2001年11月16日(金)19:08

異なるアクセントでEU強化を主張

ベルリン(ロイター)

ヨーロッパの指導的な政治家はベルリンにおいて、一層の調和と改革により欧州連合(EU)の強化をはかることを訴えた。しかし力点は様々であった。ドイツのヨハネス・ラウ大統領とイタリアのカルロ・アッゼリオ・チャンピ大統領は金曜日、欧州憲法の策定を求めた。ラウ大統領はさらに「国民国家からなる連邦」(Foederation der Nationalstaaten) を、チャンピ大統領は連合(Union)を提唱した。加えてイタリア大統領は、積極的な中核グループによってEU統合が推進されるならば、肯定的に評価できると発言した。しかしまさにこの事態をギュンター・フェアホイゲン欧州委員は警告し、さらに、EU独自の財源に関する論議を行う時期と考えると述べた。キリスト教社会民主同盟(CSU)のエドムント・シュトイバー党首は、「欧州は政治エリートのプロジェクトに留まってはならない」と警告した。

ラウ大統領はベルリンのヘルベルト・クヴァント財団主催の欧州会議の席で、私は欧州憲法と国民国家の連邦として組織されるひとつの欧州を支持する。この憲法は三つの中核部分を含まねばならない。すなわち、欧州基本権憲章、EUレベルと国家の間の権限分割、ならびに欧州連合の機構組織の確定である。欧州議会は「真の市民議会」に改編され、欧州連合の閣僚理事会は「ある意味で国家間議会」にならねばならない。欧州委員会は、たとえば両院による欧州委員長の選挙などにより、一層の民主的正統性を付与される必要がある、と発言した。

ラウとチャンピは多様な国民によるEUを支持した。チャンピ大統領は、EUは共同体のプロジェクトとして明確な輪郭と力強さを持たねばならず、さもなくば世界政治において二級の役割に甘んじねばならない、と主張した。チャンピは、欧州憲法という目標、また欧州の建設を断固として推進する中核グループの存在も、アメリカ合衆国のテロを受けた現在ほど重要となった時はない、と補足した。

EU東方拡大担当のフェアホイゲン欧州委員は、欧州統合のエンジンとしての中核グループというチャンピ大統領の考えを視野に入れて警告を発した。「現在の時点で先駆グループやパイオニアグループについて語ることは非建設的である」。むしろ15の全加盟国を取り込んで協力関係を発展させねばならない。またフェアホイゲンはEU拡大のタイムスケジュールを疑問視することを厳しく戒めた。目下EUは2004年の欧州議会選挙の前に第一陣の新規加盟が可能という前提に立っている。もし加盟が遅れるようなことがあれば、おそらく候補諸国から約束違反と批判されよう、と語った。

フェアホイゲン委員もEUの包括的な改革を求め、「むしろ現在はその役割が低下している」として、欧州委員会の強化を支持する考えを示した。国民国家の代表者から構成されるEU閣僚理事会はその性格を根本的に変える必要がある。立法と政策遂行の活動を切り離し、議長国の輪番原則を放棄せねばならない。EUの独自の財源に関してもそろそろ議論を始めねばならない、とフェアホイゲンは主張した。

バイエルンのエドムント・シュトイバー州首相(キリスト教社会同盟)は、「単独統治の許可証を備えたEUなど、私は拒否する」と明言した。州首相はEUに対する市民の不信感が高まっていることを指摘し、それゆえ私もEUの包括的改革を不可欠と考える、だがむしろ市民との距離を縮めねばならないのであって、すべての権限をEUに集中させてはならないのである、と語った。シュトイバーは、東方拡大が数百億マルクもの農業分野と構造改革基金の支出増加を招くのではないかという懸念を指摘し、それゆえこの領域においても根本的な改革が必要なのであると主張した。

原題:Unterschiedliche Akzente bei EU-Staerkung