2005年11月30日(水)15:31
ロンドン/ブリュッセル(AFP)
欧州連合の中期予算計画をめぐる加盟国間の論争で、イギリス政府はいわゆるイギリス割引を少なくとも一部削減する用意があるという。12月中旬のEU首脳会議で他の加盟国首脳との間で合意を導かねばならないトニー・ブレア首相は、少なくともイギリスの拠出金割引の一部について譲歩する意向である、と『デイリー・テレグラフ』紙は政府筋の情報として伝えた。欧州委員会はブレア首相に対し公正な負担調整を図るよう求めた。
議長国イギリスは「ロビン・フッド」物語の「ノッティンガムの代官」のように、共同体の予算を貧者から徴収して、富者に配分するようなことがあってはならない、と広報官はジョゼ・マニュエル・バローゾ欧州委員長の言葉を伝えた。欧州委員会のバローゾ委員長とダリャ・グリバウスカイテ予算担当委員は絶えず議長国や他の加盟国政府と連絡を取り、12月には「野心的で公正な」財政計画が成立するよう努力する意向である、と広報官は伝えた。
イギリスのジャック・ストロー外相は来週水曜日にブリュッセルで臨時EU外相理事会を開き、初めて具体的な金額を挙げて予算案を協議する意向である。EU外交筋の予測ではイギリスの提案は来週初めに発表されるという。『デイリー・テレグラフ』紙によれば、たとえフランスが3年前に決定された*)2013年までの農業予算の再交渉を一切拒否した場合でも、ブレア首相は1984年からイギリスに認められている拠出金の割引について議論する用意があるという。今年6月の首脳会議では、この二つの問題の抱き合わせにより、中期予算交渉が決裂した。イギリスが応じるとされる譲歩について、今度は野党保守党の広報官が『デイリー・テレグラフ』紙で「降伏」と批判した。
現行の財政構造の見直しを行わなければ、イギリスに認められている拠出金割引額は、現在の46億ユーロから、次期中期予算計画の2013年までには70億ユーロ以上に膨らむことになる。今のところEUすべての加盟国政府は予算問題における自らの立場を崩していない。木曜日に開かれるイタリアとスペインの恒例の首脳会談でもEU予算問題が中心テーマとなる、とイタリア政府の広報官は伝えた。
原題:Blair zu Zugestaendnissen bei Britenrabatt bereit
*)訳注:2002年12月のコペンハーゲン首脳会議