2007年11月20日(火)14:59
ブリュッセル(AFP)
大農場は今後EUの補助金を切り詰められる。欧州委員会は、農業企業よりも環境保護に予算を振り向ける新たな農業政策の方針を決定した。この改革で不利益を蒙るのは東欧のかつての集団農場のほか、エネルギーコンツェルンのRWE、ならびにイギリスのエリザベス女王である。ドイツのホルスト・ゼーホーファー農相(キリスト教社会同盟)は、この計画に反対する意向を表明した。欧州委員会は来年末までの実施を考えている。EU加盟国からそれほど異論がないのは、牛乳の生産割当てと穀物の最低価格保証制度の撤廃である。
欧州委員会のマリアン=フィッシャー・ベール農業担当委員は「健康チェック」を行い、EU総支出のおよそ40パーセントを占める550億ユーロもの農業予算の配分方法を変更する意向である。牛乳と穀物の価格高騰を踏まえ、デンマーク出身のフィッシャー・ベール委員は乳製品の買い取りや生産量の上限設定のシステムも時代遅れとの見解を表明した。私の計画は農家にも消費者にも納税者にとっても利益となると委員は述べた。具体的には30万ユーロ以上の農業補助金についてはその45パーセントを、20万ユーロ以上の補助金は25パーセントを、10万ユーロ以上の補助金は10パーセントをそれぞれ削減する意向である。
欧州委員会の計画は「とりわけ新連邦州*に破局的な影響」を及ぼす。「雇用が脅かされることになる」、とゼーホーファー農相はドイツ第二テレビ(ZDF)で警告した。しかし農相は、農業とほとんど関係ない企業が農業補助金を支給されている状況については「改善する必要」を認めた。EU会計検査院によれば乗馬クラブ、ゴルフクラブ、地方自治体がこれにあたるという。2003年に改革されたEU農業政策は農家よりも地主を優遇しているとの批判の声もある。RWEコンツェルンもこの優遇者に含まれる。農相は受給者一覧表の公開を2009年まで延ばす意向である。ノルトライン・ヴェストファーレン州に続いて、火曜日にはブランデンブルク州もはじめて受給額を発表した。
1986年に導入された牛乳の生産割当制度を2014年か2015年までに段階的に廃止するという欧州委員会のもう一つの提案は、大きな抵抗なく受け容れられた。もはやミルクの海やバターの山は過去のものとなり、生産量の上限設定や過剰生産の農家に対する罰金というシステムは時代遅れと見られている。逆に中国のような発展途上国の需要が価格の上昇を招いており、EU内で供給が不足する懸念も生じている。
原題:EU-Kommission will Agrarhilfen fur Grossbetriebe kappen
*訳注:「新連邦州」とは旧東ドイツ地域を指す。