2008年11月26日(水)
AFP
チェコのEU改革リスボン条約批准への道が開かれた。憲法裁判所はリスボン条約を合憲と判断した。これにより法廷は欧州統合懐疑派のヴァーツラフ・クラウス大統領の異議を退けた形となる。大統領は条約を国家の「主権の原則」に反するものと主張していた。これより前、大統領はアイルランドが批准しない限り条約に署名しないと述べた。チェコはEU加盟国中唯一いまだ批准手続きが開始されていない。
憲法裁判所への訴えは今年の春、保守系の与党市民民主党(ODS)の上院議員が起こした。裁判所はこれを受けて、リスボン条約がチェコの憲法に適合するか否かについて判断を迫られた。とりわけ問題となったのは、欧州連合への国家権限の委譲および条約に定められた多数決規定である。
ミレク・トポラーネク首相は憲法裁判所の判断を歓迎した。これにより上下両院での批准が可能になると首相は述べた。議会の条約批准は確実と見られている。その後条約はクラウス大統領の署名に委ねられるが、大統領はアイルランドの批准を署名の条件とした。
アイルランドは6月の国民投票でリスボン条約批准を否決している。EUの諸機構や決定手続きの効率化を図るリスボン条約の発効には、加盟全27ヶ国の批准が必要となる。チェコは2009年上半期の欧州連合議長国を務める。
憲法裁判所の審査は異議の出た項目のみについてであり、条約全体に及ぶものではないため、チェコの条約反対派が引き続き裁判所の判断を要求する可能性は残っている。クラウス大統領は、下院もしくは上院の議員グループが新たな論拠を持ち出し、異議を唱えることを期待すると述べた。判決文は本来の聴聞会のはるか以前に起草されていたと大統領は批判した。
ストラスブールの欧州議会からは今回の憲法裁判所の判断を歓迎する声が上がった。ハンスゲルト・ペッテリング議長(キリスト教民主同盟CDU)は、これによりチェコの条約批准の停滞状況が克服されると語った。
欧州委員会はもはや2010年以前のリスボン条約発効を考えていない。まずアイルランドが再度の国民投票を実施する必要があり、これは2009年下半期となる可能性がある、と見ている。
原題:Verfassungsgericht in Prag gibt gruenes Licht fuer EU-Vertrag