2001年10月18日(木)17:39

シュレーダー首相は明確なEUの姿勢を求める − ニース条約批准

ベルリン(ロイター)

ガン(ヘント)における欧州連合(EU)首脳会議を控え、ドイツ政府は国際的テロに対する闘いにおいてEUが一層明確な姿勢を示すよう促した。ゲルハルト・シュレーダー首相(社会民主党)は木曜日、連邦議会の政府声明において、「欧州の声が聞こえ、欧州の行動が目に見えるようでなくてはならない」と主張した。ヨシュカ・フィッシャー外相(緑の党)は、21世紀における欧州の行動能力が問われていると述べた。キリスト教民主同盟・社会同盟は、EU予算から外交・安全保障政策に一層の増額を求めた。圧倒的多数をもって連邦議会はニースのEU改革条約を批准した。

シュレーダー首相は、ベルギーのEU首脳会議を翌日に控え、テロの撲滅はEUの統合プロセスにおいて新たな推進力とならねばならないと述べた。1945年以降、欧州の統一は21世紀の最大の成功譚であり、「諸国民の戦争に対する回答」である。この経験をヨーロッパ人は他の国民にも役立ててもらおうとしたのだ。欧州は「飢餓、抑圧、不安定およびテロリズムに対する闘いにおいて世界的な責任」を担っているのである、と首相は語った。

EU各国の大統領、首相はガンにおいて、アフガニスタンでの軍事作戦は国際法上合法のものであると宣言する予定である、とシュレーダー首相は述べた。首相は、テロに対する国際的な連携への参加をドイツ固有の利害から次のように理由づけた。「これは、わたしたちの文明化された生活様式を歴史と顔を持たない野蛮から守ろうとするものである。」欧州は単に共通の経済圏であるに留まらない。価値共同体でもあるのだ。この理由からも、「私たちがテロとの闘いにおいて自由、連帯および正義という価値を1ミリたりとも譲らないこと」が肝要なのだ。

フィッシャー外相は、テロリズムの突きつけた課題は「欧州プロジェクトの弱点をも一瞬にして明らかにした」と述べた。欧州の行動能力に対する疑問が提起されているのだ。すなわち「欧州は大きすぎて、明確な立場を取れる可能性はないのだろうか?」これは、たとえばタリバン政権崩壊後のアフガニスタンの政治的将来に関する議論においても当てはまり、また中東紛争に関しても該当する。「もしヨーロッパ人が今後も国ごとに分かれたまま留まるならば、最大のEU加盟国といえども(…)21世紀の世界では世界秩序の構成要素たりえず、単に他国が形成した立場に追従させてもらうのみとなろう」と外相は語った。

シュレーダー首相とフィッシャー外相は、ドイツがテロに対する闘いに軍事貢献を行う用意があるとあらためて明言した。「私たちは、これまで行ってきた(アメリカ)支援が、私たちがこの闘いに貢献できる限度であり、私たちに求められているすべてであるなどと考えるべきではない」とシュレーダー首相は述べた。首相は同時に、政府が議会の承認を得ずにドイツ軍派遣を強行するのではないかという、緑の党の一部から出ている疑念を否定した。「連邦政府の誰一人として、どんな形であれ議会の決定をすり抜けようなどと意図しているものはいない。」

キリスト教民主同盟・社会同盟の議員団長フリードリヒ・メルツは、共通のEU予算から外交・安全保障政策に一層の予算を割くよう求めた。「もし私たちが新たな答えを出さねばならないとしたら、EU予算の優先順位を改める必要がある。」EU予算では、共通の外交政策にわずか50億ユーロしか準備されておらず、一方地域政策には320億ユーロ、農業政策には450億ユーロが認められている、とメルツは指摘した。フィッシャー外相はEU財政計画に手をつけることに強硬に反対した。そうなれば二度と蓋を閉めることのできないパンドラの箱を開けてしまう、と外相は述べた。

投票総数604票中570票の圧倒的多数をもって、連邦議会はニースEU条約を批准した。同条約は、東欧および中欧の国々を中心とする12ヶ国に及ぶ新規加盟を控えて、その前提条件を整えるべくEUの機構改革を定めたものである。ガンのEU首脳会議は、政府筋の伝えるところによれば、9月11日のテロ事件の及ぼす経済的影響を優先的に議題として取り上げる予定であるという。

原題:Schroeder fuer schaerferes EU-Profil - Nizza-Vertrag ratifiziert