2004年10月29日(金)14:18

EU憲法:「夢が現実に」

ローマ(ドイツ通信社)

新欧州委員会の編成問題をよそに、統一欧州の各国政府は金曜日、初の共通の憲法に調印した。「夢が現実になった」とドイツのゲルハルト・シュレーダー首相は語った。

厳かな雰囲気の中、EU各国首脳はローマで歴史的文書に署名を行った。EUの代表は加盟国の国民や議会に対し、この4億5000万を越える欧州市民の基本法を速やかに批准し、予定どおり2006年11月1日の発効を迎えられるよう呼びかけた。憲法調印式の枠外で各国政府代表は次期欧州委員会の構成問題についても協議を行った。

欧州憲法は欧州議会と各国政府に一層の権限を与え、EU閣僚理事会における大小加盟国の比重を規定しなおし、欧州基本権憲章をすべてのEU市民が告訴可能な法律へとあらためた。「私たちは平和と自由、協力関係および対話を信ずる。欧州憲法はこの理念を維持する」とEU議長を務めるオランダのヤン・ペーター・バルケネンデ首相は語った。

EU憲法に署名したのは加盟国の首脳や外相だけではない。ブルガリア、ルーマニア、トルコの代表も署名を行った。これらの国はEU加盟正式候補国であり、EU将来像会議では憲法の起草にともに携わった。憲法条文については長期にわたり激しい論争が交わされた。とりわけ問題となったのは大小加盟国の閣僚理事会における票配分である。中でもポーランドは自国の影響力の低下を恐れ、長いこと調印を拒んだ。

ようやくこの7月*)に合意を導いた前EU議長のバーティー・アハーンアイルランド首相は、加盟国における批准は決して容易には進まないだろうと予測した。有権者が投票で欧州憲法を批准する予定の数ヶ国では、国民はEUに批判的と見られている。たとえばイギリスやポーランドなどである。ジョゼ・マヌエル・バローゾ次期欧州委員長は各国の議会と国民に対して、自らの責任を自覚し、憲法を承認するよう呼びかけた。「そうすれば、欧州の兄弟関係を生きた形で体現する共同体への道が開けるのだ」。

憲法を批准した国が2年以内に加盟国の80パーセントに達しなかった場合は、首脳会議の場で対応を協議すると定められている。しかしその後どのような手続きを行うかについては何の規定もない。シュレーダー首相は、連邦議会と連邦参議院で速やかに批准手続きに入ると述べた。国民投票は、野党が社会民主党と緑の党の国民投票の一般的導入に関する提案に同調しない限りありえない、と首相は語った。

欧州憲法の調印式は、1957年にEEC創立6ヶ国、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクが「ローマ条約」に調印し、統一ヨーロッパの骨格を築いた時と同じホールで行われた。各国首脳は、次期欧州委員会の編成問題がこの歴史的な式典に影を落とさぬよう、明らかに努力を払っていた。バローゾ次期欧州委員長もこの問題に触れなかった。

しかしバローゾ次期委員長周辺の情報によれば、次期委員長は共同の昼食会の席で、なぜ水曜日に次期欧州委員会の人事案を撤回したかを説明する意向であったという。これにより次期委員長は欧州議会による人事案の否決を回避した。欧州議会では数名の人選に対して批判が出ていた。今後バローゾ次期委員長は新たな人事提案を行い、できるだけ多くの欧州議員の支持を求める意向である、と周辺筋は伝えている。

シュレーダー首相は人事問題の速やかな解決を勧告した。まだ危機と呼ぶには早いが、双方、すなわちバローゾ次期委員長と欧州議会が2週間以内に合意する必要がある。私自身はこの議論に加わるつもりはない、と首相は語った。バローゾ次期委員長が数名の候補者を変更するならば、その候補者を送り出した各国政府の承認を取り付ける必要がある。シュレーダー首相は、産業政策全般を担当するドイツ選出のギュンター・フェアホイゲン委員候補の他分野への配置転換については拒否した。

原題:EU-Verfassung: ≪Ein Traum wird Wirklichkeit≫

*訳注:原文には「7月」とあるが、EU憲法を採択した首脳会議は6月18日。




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