2005年10月26日(水)19:18
ストラスブール/ハンプトンコート(AP)
EU首脳会議を直前に控えて、イギリスのトニー・ブレア首相は、EUをグローバル化に適応させる5項目プランを発表した。「私は、EUを変えねばならない、それも正しい方向に変えねばならないという合意があると考える」とEU議長を務めるブレア首相は水曜日、ストラスブールの欧州議会で語った。
「グローバル化は危機ではなく、私たちにとって可能性なのだ」。「私はEUの社会的側面を支持する。だがそれは私たちの競争力や豊かさ、生活水準を向上させる方向に働かねばならない」、とブレア首相は主張した。EU各国首脳は木曜日、ロンドン郊外のハンプトンコートで非公式会議を開き、EUの経済・社会モデルに対するグローバル化の影響について討議を行う。
ブレア首相に対しては、社会保障の水準を犠牲にしてEUの競争力を高めようとしているとの批判がある。首相はストラスブールの欧州議会で、EUは専門教育の向上、研究や開発、またサービスなどの分野の一層の自由化ならびにエネルギー備蓄の確保という問題に集中的に取り組む必要がある、と語った。さらに国際テロに対する戦略や共通の移民政策が欠かせないと主張した。
この目標を達成するため、2007年から2013年までのEU財政に関する交渉をこの12月に完了させねばならない。「私たちはEUの予算が研究、開発、教育に振り向けられるよう決定する必要がある」。「私たちの大学は、本来アメリカの大学のライバルとなるべきなのに、そうなっていないのだ」、とブレア首相は語った。
フランスのジャック・シラク大統領は、EU全体の研究予算増額のために100億ユーロの基金創設を提唱した。水曜日EU加盟数ヶ国の新聞に掲載された論文の中で、大統領は「私たちの目標は単純である。欧州にダイナミズムを取り戻すことだ」。欧州は世界経済の最前線に加わる潜在力を有している。しかし時間は切迫している、と訴えた。
ブレア首相同様、シラク大統領やアンゲラ・メルケル次期ドイツ首相も12月までのEU予算問題の合意を主張している。「欧州には今緊急に成果が必要だ」。「EUは自らの行動能力を証明しなくてはならない」、とメルケル次期首相は『ハンデルスブラット』紙Handelsblattで述べた。ハンプトンコートの首脳会議にはまだ任期中のゲルハルト・シュレーダー首相が出席する。この首脳会議ではEU予算問題の協議は行われない予定である。
EU各国首脳は6月の首脳会議ではEU予算計画の合意に漕ぎ着けることができなかった。とりわけブレア首相は、いわゆるイギリスの拠出金割引の削減と引き換えにEU農業予算の中期的削減を要求したため、協議決裂の責任を問われた。ブレア首相は、グローバル化の時代にあってEU予算全体の40パーセントを占める農業予算は大きすぎると主張している。しかしEU加盟国は2002年に2013年までの農業予算を決定している。
とりわけ最大の受益国であるフランスが農業予算の削減を拒否している。ブレア首相はロンドン郊外のハンプトンコートでの1日間の首脳会議で、決定を伴わないオープンな議論を目指している。「私たちは、まず正しいEUの経済政策路線について合意をはかり、新たなEUの優先課題をいくつか決めようと考えている」。その後12月に予算の決定を行う、とブレア首相は語った。
原題:Blair praesentiert Fuenf-Punkte-Plan fuer EU