2007年10月19日(金)14:34

EU改革条約の骨子

リスボン(AP)

リスボンのEU首脳会議でEU加盟国首脳は共同体の改革を定めた条約を採択した。条約は今後加盟全27ヶ国の批准を経ねばならず、2009年1月1日の発効を目指す。しかしいくつかの規定は2014年まで適用されない。以下に改革の概略を示す。

・新たな常任議長ポスト:2年半の任期で選出されるEU議長(EU大統領)がEUの顔となり、EUを代弁し、EUの政策に一層の連続性を与える。これまでは加盟27ヶ国の首脳が6ヶ月交替の輪番制で議長を務めていた。

・共通外交政策の強化:EU外交上級代表(現在はスペイン出身のハヴィエル・ソラーナ)の権限が高められる。いわゆる「二重ポスト」として、従来の任務に加えて欧州委員会の外交担当委員(現在はオーストリア出身のベニータ・フェレロヴァルトナー)の任務も引き受け、欧州委員会の副委員長となる。公式の職名は「EU外交安全保障政策上級代表」と決まった。

・欧州委員会の縮小:2014年に欧州委員会はスリム化される。現在は加盟全27ヶ国からそれぞれ1名ずつの委員が送られているが、改革後は委員の数は加盟国の3分の2に減る。輪番制の原則により、すべての加盟国に対し、委員選出の機会の公平化を図る。

・欧州議員の削減:欧州議会も縮小される。現在の785名から2009年以降は750名に減らされる。これに議会議長が加わるが、議長は通常の議員とは見なされない。

・拒否権の廃止:現在は多くの政治分野が、EU加盟国の全会一致を必要としているが、今後は多数決決定が標準となり、もはや1ヶ国が他の26ヶ国の意向を阻止することは不可能となる。しかし租税問題、外交問題などいくつかの分野では依然全会一致の原則が維持される。

・閣僚理事会の票配分:二重多数決の表決原則は2014年11月1日から適用される。決定には加盟国の55パーセントとEU総人口の65パーセントが必要となる。これにより加盟国の人口数に一層のウエイトが置かれる。しかし2017年3月31日までの移行期間は、意に反する決定を従来のニース条約の表決方法でやり直すよう個々の加盟国が要求できる。また2017年以降も、特定の条件のもと、交渉の延長を要求することができる。

・欧州基本権憲章:2000年末に調印されたEU基本権憲章は新条約とともに法的拘束力を持つ。しかしポーランドとイギリスに対しては除外規定が設けられる。

・補完性の原則:過半数の加盟国の議会が欧州委員会の法案に反対した場合は、欧州委員会は法案を再検討しなくてはならない。もし法案を修正しない場合は、その理由を発表しなくてはならない。この欧州委員会の意見書とそれに対する加盟国議会の反論は、その後EU閣僚理事会と欧州議会の法案協議で考慮されねばならない。

・市民請願:100万人のEU市民が署名により特定の問題について法律制定を求めたならば、欧州委員会は行動を起こさねばならない。

原題:Stichwort: Wesentliche Elemente des EU-Reformvertrags




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