2007年10月22日(月)14:44
ジビレ・コルテ
ワルシャワ(AFP)
ポーランドのパートナーであるEU加盟諸国は一息つける。次期首相と目される、リベラル保守の市民プラットフォーム(PO)のドナルド・トゥスク党首は、これまでの民族主義的保守政権とは対照的に、外交政策では対決ではなく協調を重視している。しかし国益の保護に関しては、リベラル保守のPOも少なくともヤロスワフ・カチンスキ首相率いる現政権と同じくらい強硬である。同党はこうした姿勢をこれまで、他のEU加盟国に対してもアメリカに対しても示してきた。
新政権は現代的で、EUにもきわめて積極的に参加する、とPOの指導的なメンバーであるヤチェク・サリュシヴォルスキ欧州議員は開票の晩、AFP通信に語った。「過去2年間の政治は私たちに対立をもたらしただけで、何ら良い成果はなく、ポーランドの対外的イメージを損ねた」。サリュシヴォルスキ議員は欧州議会の外交政策委員会の委員長も務めている。「私たちはこの状況を改め、もはやEUに背を向けないつもりである。」
今回の議会選挙で大敗を喫した、カチンスキ首相率いる民族主義的保守政権は、過去2年間たびたびEUに対し対決路線を取ってきた。新たなEU改革条約はポーランドの抵抗であやうく頓挫するところであったし、現政権は欧州基本権憲章への加盟も拒否した。サリュシヴォルスキ議員は、ポーランドはこれからこの憲章に加わるつもりだと述べた。
しかしEUの表決手続きの改革をめぐる論争では、ポーランドのリベラル保守POはカチンスキ政権以上に強硬な路線を主張してきた。新たな票配分の規定に関しては、POは現政権の要求を明確に支持していた。ポーランド政府が主張する、加盟国人口の平方根による票配分算定方式がEUで支持を得られなかった際、POは国内で政府に対して厳しい批判を浴びせた。
消息筋の見方では、ドイツ・ポーランド関係はトゥスク政権のもとで緊張緩和に向かうものと予測される。新政権はドイツを悪の権化と見るような路線を踏襲することはないだろう、とワルシャワ国際関係研究所のピオトル・ブラス研究員は述べた。ドイツ・ロシアのバルト海ガスパイプラインや、故郷放逐者記念センターの計画、あるいは芸術作品の返還などの問題は、もはや今後大きな問題になることはないだろう。新政権は他国との協力関係では率直で信頼のおけるパートナーとなろう、とドイツ問題の専門家のブラス研究員は語った。
新政権はアメリカに対しては現政権よりもずっと強い姿勢で臨むと専門家は見ている。リベラル保守政権はアメリカの提案を以前ほど易々と受け入れることはないだろう、とポーランドの上級外交官を務めたパーヴェル・スヴィェボダは述べた。トゥスク党首は選挙戦中、当初の合意期間を越えてポーランド部隊をイラクに駐留させているとしてカチンスキ政府を非難していた。また、政府はポーランドのアメリカ支援の見返りとして、ポーランド国民のアメリカへのビザなし渡航も、アメリカによる投資拡大も得られなかった、とトゥスク党首は批判した。POは約900人のポーランド兵をイラクから撤退させると約束している。
NATO部隊のアフガニスタン派遣についても、リベラル保守政権はポーランドの役割を見直す考えである。「アフガニスタンのポーランド軍はその性格を変える必要がある」とPOのボグダン・ズロイェフスキ議員は月曜日、ラジオ局TOK FMに語った。現在およそ1200人のポーランド兵がISAFの枠内でアフガニスタンに派遣されているが、ポーランド国民の過半数はこの派遣に反対している。
新政権はポーランド国内へのミサイル防衛盾の配備をめぐるアメリカとの交渉でも、現政権よりも断固たる姿勢で臨むものと見られる。「このミサイル防衛盾のもたらすリスクを引き受けるのは私たちだけだ」と、防衛大臣を務めたラデク・シコルスキ議員は述べた。シコルスキ議員はトゥスク政権の外相候補に挙げられている。
原題:ANALYSE: Polens kuenftige Regierung setzt auf Europa