2009年10月11日(日)10:42

クラウス大統領はリスボン条約問題で批判を浴びる

プラハ(ドイツ通信社dpa)

ポーランドのレフ・カチンスキ大統領のリスボン条約署名を受けて、署名を拒んでいるチェコのヴァーツラフ・クラウス大統領に対し、国内の政治家から批判の声が高まっている。

「これでチェコはリスボン条約を批准していない最後の国として脚光を浴びることになる」とチェコ議会外交委員会のヤン・ハマチェク委員長(社会民主党)は週末プラハで語った。チェコの下院は2009年2月18日に、上院は5月6日に条約批准を承認している。

しかしクラウス大統領はこれまで批准完了に必要な署名を拒んでおり、金曜日には欧州基本権憲章のチェコに対する適用除外を求めた。これに対しヤン・フィシェル首相は、「私は大統領がこの計画について事前に政府と協議しなかったことを残念に思う」とプラハで述べた。外務省も、クラウス大統領からは相談を受けていないと発表した。「大統領の計画は残念ながら予測できない」とハマチェク委員長は語った。緑の党のオンドレイ・リスカ党首も「恥ずべき状況」と述べた。

クラウス大統領は故郷放逐者の財産返還訴訟を危惧している。これは第二次大戦後ベネシュ布告に基づき、財産を剥奪され、故郷を追われた200万以上のズデーテンドイツ人を指す。クラウス大統領は例外条項を設けることにより、1945年のベネシュ布告が国際的に問題とならないよう安全策を講じたい意向である。ドイツ・キリスト教社会同盟(CSU)所属のベルント・ポッセルト欧州議員はズデーテンドイツ人団体の広報担当として、クラウス大統領は権利を奪われて放逐され、ときには殺害された人々とその子孫数百万人の運命を冷笑的に弄んで」いると語った。

フィシェル首相はクラウス大統領の危惧する財産返還要求について、「政府が行ったあらゆる分析でもそうした可能性は認められない」。政府はベネシュ布告についても検討し、「そのような観点からの危険がまったく存在しない」と判断した、と語った。CTK通信社が法律専門家に尋ねたところでは、リスボン条約は国際的な協定として遡って適用される可能性はないという。ポッセルト欧州議員も、クラウス大統領はEU基本権憲章が加盟国の財産規定に何ら法的影響力を及ぼさないことを十分承知しているはずだと語った。

フィシェル首相は月曜日、クラウス大統領の新たな要求をどう取り扱うかを内閣と協議する意向である。フィシェル首相はカチンスキ大統領に祝辞を送り、私は「条約が近い将来チェコ共和国でも批准される」と考えていると伝えた。現在はブルノのチェコ憲法裁判所が、EU反対派の上院議員グループの提訴を受けて、リスボン条約の合憲性を審査している。裁判所の判断は早ければ今月末にも下りるものと見られる。

原題:Praesident Klaus wegen EU-Vertrag in der Kritik




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