2009年10月13日(火)16:45

EUはチェコに対し欧州委員ポストを失うと警告

AFP

EU改革リスボン条約をめぐる綱引きで、チェコは自国の欧州委員ポストを失う可能性が出てきた。欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長は、引き続きヴァーツラフ・クラウス大統領がリスボン条約への署名を拒否するならば、チェコは欧州委員のポストを失う可能性があると警告した。チェコ政府は、ズデーテンドイツ人が新たな賠償請求を起こす可能性があるとのクラウス大統領の警告を否定した。

「チェコが自国の委員ポストを確保する唯一の可能性は、リスボン条約の発効である」とバローゾ委員長は警告した。現行のニース条約が引き続き効力を保てば、従来の27名から構成される欧州委員会は縮小を余儀なくされる。バローゾ委員長は、その場合チェコに対する「保証」はないと述べた。

クラウス大統領の署名引き延ばしは、リスボン条約委の発効に向けた最後の障害となっている。他のEU加盟26ヶ国ならびにチェコ議会はすでに批准を承認している。クラウス大統領は、署名にはチェコの憲法裁判所の判断が必要であるとしている。現在チェコの憲法裁判所には、リスボン条約の憲法判断を求める訴えが起こされている。

チェコ政府は、第二次大戦後に財産を剥奪されたズデーテンドイツ人がリスボン条約を根拠に新たな財産返還要求を起こす恐れがあるとのクラウス大統領の主張を退けた。条約にそのような「遡及力」はない、とフィシェル首相はブリュッセルで強調した。クラウス大統領はチェコに対しEU基本権憲章の適用除外を求めている。EU基本権憲章はリスボン条約により初めて法的拘束力が与えられる。基本権憲章は個人の財産に関する権利などを定めている。

しかしEUはリスボン条約の内容的修正を全員一致で拒否している。修正により加盟全27ヶ国で条約の批准やり直しが必要になる事態は「受け入れられない」上に、「まったくばかげている」とバローゾ委員長は語った。

フィシェル首相はまた、EUが10月29日と30日のブリュッセル首脳会談の前に何としてもクラウス大統領との妥協点を模索するとの見解を述べた。EU議長国スウェーデンはすでに作業グループを立ち上げた、とフィシェル首相は語った。首相によれば、EU各国首脳がクラウス大統領の求める適用除外に関する政治宣言を行う可能性があるという。こうした法的拘束力を持たない宣言であれば、批准のやり直しは不要となる。

原題:EU droht Tschechien mit Verlust von Kommissarsposten




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