2009年10月26日(月)17:02
ルクセンブルク(AP)
EU改革リスボン条約の救済をはかる重要なEU首脳会議を目前に控え、ドイツ政府は明るい見通しを述べた。「私はリスボン条約発効に向けた最後の障害も取り除かれると考えている」と外務省のギュンター・グローザー政務次官は月曜日、ルクセンブルクで開かれたEU外相準備会合の席で語った。チェコの憲法裁判所は(明日)火曜日にリスボン条約違憲提訴の聴問を予定している。
スウェーデンのセシリア・マルムストレームEU担当相は、リスボン条約の今後に関する明確な見通しがなければ、木曜日と金曜日の首脳会談では次期EU主要ポストの決定は行われないと述べた。リスボン条約は、EUの顔となり声となる2年半任期のEU常任議長(大統領)の創設を定めている。これまではEU各国首脳が6ヶ月交替で議長職を務めていた。またEU外交上級代表の権限強化も盛り込まれており、このポストも新たな任命が必要となる。
イギリスのデーヴィッド・ミリバンド外相はルクセンブルクの準備会合で、トニー・ブレア前首相のEU常任議長への任命に対する支持を求めた。外相自身がEU外交上級代表に就任する意思はないかとの問いに対して、ミリバンド外相は「英国からは1名の就任を要求すれば十分だと考える。私は欧州理事会の強力な指導力を求める」。私自身は「EU首脳ポストの候補者ではない」、と語った。
ブレア前首相をEU常任議長に任命するという案については、イタリアのフランコ・フラティーニ外相も支持を表明した。「彼は私たちが評価する人物であり、カリスマ的な政治家だ」と外相は語った。しかし一方で、ブレア前首相のEU常任議長案についてはEU内で異論があることも指摘した。「私たちは全会一致でブレア候補案に合意する必要があろう」とフラティーニ外相は述べた。
速やかに次期EU首脳人事を決めるためには、チェコの憲法裁判所がリスボン条約違憲提訴を却下し、ヴァーツラフ・クラウス大統領が条約に署名することが前提となる。クラウス大統領は、条約に含まれる欧州基本権憲章がチェコ領のかつての財産に対する放逐ズデーテンドイツ人の返還要求の法的根拠にならないという保証が得られなければ、批准文書に署名しないとしている。
スロヴァキアも同様の保証を要求しており、ミロスラフ・ライチャーク外相は「私たちはチェコ共和国と同じレベルの政治的、法律的保護を求める」とルクセンブルクで強調した。チェコとスロヴァキアの前身となるチェコスロヴァキア政府は、第二次大戦後に問題のベネシュ布告を公布した。これに基づき、1946年までにおよそ300万人のズデーテンドイツ人ならびに60万人のハンガリー系住民がチェコスロヴァキアから追放され、財産を剥奪された。
ハンガリーのペーテル・バラージュ外相は、チェコとスロヴァキアによるリスボン条約の修正要求を批判した。条約は「ベネシュ布告について一言も」触れていない。「リスボン条約は過去の法律文書とは何の関係もない。私たちの目は将来に向けられているのだ」、とバラージュ外相は語った。
原題:EU-Aussenminister hoffen auf Einlenken Tschechiens