2009年10月31日(土)12:40
プラハ(ドイツ通信社dpa)
リスボン条約のEU基本権憲章をチェコに対しては適用しないというEUとチェコの合意に対して、チェコでは労働組合や社会民主党から批判の声が上がった。EU首脳会議の環境保護政策に関する決定も批判を浴びた。
「政府が承認したのは、(チェコを)新世代の社会的権利の全帯域から除外するという受け入れがたい構造だ」。我が党ならば基本権憲章の遡及適用のみを禁じる妥協の方を選んでいた、と社会民主党のジリ・パロウベク党首は左派自由系の日刊紙プラーヴォPravoに語った。
チェコの労働組合連合CMKOSも、チェコ国民が自らの市民権を国際的に守れなくなるという懸念を表明した。「労働組合は例外条項への署名を阻むために全力を尽くす」。デモやストライキも辞さない。だがまずは11月にインターネットを通して国民に政府の決定を伝えるつもりだ、とCMKOSのヴィト・ザメク副議長は語った。
チェコ政府、ならびにチェコのCTK通信社が問い合わせた法律専門家は、こうした懸念は杞憂であると判断している。たとえばブルノのマサリク大学法学部のフィリプ・クレペルカ教授は、EU基本権憲章の大半はチェコの法律にも規定されていると述べる。また無所属のヤン・フィシェル首相は、「何一つ危うくなっている権利はない」。EU首脳会議の合意案はチェコ国民に何ら不利益をもたらさない、と保証した。
ブリュッセルのEU首脳会議でフィシェル首相は、EU批判派のヴァーツラフ・クラウス大統領の要求を通すことに成功し、ポーランドとイギリス同様チェコに対しても基本権憲章の大幅な制限適用を認めさせた。クラウス大統領は金曜日、「基本権憲章の適用除外はチェコ国民の社会保障水準を低下させるものではない」と公式見解に記した。
クラウス大統領はEU首脳会議の合意案に満足の意を表明し、EU加盟国の大統領として最後にリスボン条約に署名する意向である。しかしその前に、来週火曜日に予定されているブルノの憲法裁判所による条約の合憲性に関する司法判断を待たねばならない。リスボン条約の発効には加盟全27ヶ国の批准が必要とされる。欧州連合は12月1日の発効を期待している。
批判の声はEU首脳会議の環境対策に関する決定についても寄せられた。「環境問題に対するEU各国首脳の財政支援策はEUへの期待を大きく下回るものだ」と欧州議会環境問題委員会のヨー・ライネン委員長(ドイツ社会民主党SPD)は土曜日ブリュッセルで語った。「ドイツ政府も環境保護にブレーキをかける側に回ったらしい」。コペンハーゲンの国連環境会議の開幕をおよそ5週間後に控えて、「この数字で何をせよというのだ」と途上国は尋ねることだろう、とライネン委員長は批判した。
コペンハーゲンでのEUの交渉姿勢に関する決定で、EU各国首脳は金曜日、第三世界の環境対策に世界が年間1兆ユーロの財政支援を行う必要があると算定した。しかし具体的なEUの拠出額については言及しなかった。
原題:Linke Kritik nach EU-Kompromiss mit Tschechien