2000年10月31日(火)15:30

欧州委員会はEUの小国グループの側に立つ


EU改革に関する政府協議 ― 将来も各国から一人の委員選出が認められることに

ブリュッセル(AP)

欧州委員会はEUの機構改革に関する協議において小国の側に立つ姿勢を明確にした。欧州委員長ロマーノ・プロ−ディは火曜日ブリュッセルで、拡大後の欧州連合ではどの加盟国も一名の委員を選出することが認められると述べた。この発言により欧州委員長は、大国の提案する、必ずしも常にすべてのEU諸国から同時に委員を出さないという小規模の欧州委員会の案に反対したことになる。10月中旬のビアリッツでのEU首脳会談ではドイツ、フランス、イタリア、スペインおよびイギリスのEU大国が、将来は一名の委員枠を放棄する姿勢を打ち出していた。

欧州連合が27ヶ国に拡大した場合、欧州委員会はどこまで規模を拡大して良いのかという問題は、5週間後に迫るニースのEU首脳会談で解決を求められている最重要課題の一つである。委員会の規模、閣僚理事会における票の再配分および多数決決定の拡大という課題に関する合意が得られなければ、EUは27ヶ国あるいはそれ以上の加盟国を抱えて機能不全に陥ることになる。協議は現在足踏み状態である。それどころかプロ−ディ委員長は多数決決定の拡大の問題で後退する可能性も警告している。「拒否権は欧州の足枷である。拒否権が欧州を破壊する」と同委員長は戒めた。通商政策における全会一致制の廃止に対してはサービス業と文化的財産の分野でフランスが強硬に反対している。ドイツは難民政策の分野で多数決決定の導入に難問を抱えている。

委員会の規模に関してプロ−ディ委員長は「我々はEU全体を代表する委員会が必要である」と述べた。もし特定の加盟国が一時的に代表を送らなければ、すべての国の代表から成る閣僚理事会レベルに諸決定が移行される事態を招き、それにより共同体の利益の守護者を自認する欧州委員会の弱体化を招くことになる、と同委員長は語った。とりわけベルギーやルクセンブルクのような小さな加盟国は、閣僚理事会に大国ほどの票数を持たないため、強力な欧州委員会を支持している。また、閣僚理事会における票の再配分が実現し、将来各国の人口を一層配慮した構成になれば、影響力が低下するおそれもある。そうなれば、目下5大国は欧州委員会にそれぞれ2名の委員を送っているが、いずれにせよ1名の枠を譲ることになるであろう。

ドイツの交渉団筋によれば、さしあたり2名の委員を断念するのは小国に対する譲歩であり、「それ以上はありえない」という。加えてそれにより国家的利害を越えたところに位置する委員会としての欧州委員会の独自性が強化されると理由付ける。「欧州委員は他の国々の利益も合わせて代表する場合、その独立性を一層明確に実証して見せねばならない。」同筋によれば、輪番制の委員会では欧州委員会の合議制の原則が保持される。27名もの委員会はヒエラルキーが必要になる。そうなれば委員長の地位が強化され、副委員長の権限が拡大され、職務領域を持たない、場合によっては投票権もないジュニア委員の制度が導入されることも考えられるという。

閣僚理事会の票の再配分に関し、プロ−ディ委員長は閣僚理事会のメンバーの多数および人口の多数を勘案した二重の多数決制の導入を推奨した。政府協議でも議論された、一層加盟国の比重を勘案した再配分については、同委員長は複雑すぎるとして退けた。「ひとつの数字を何乗ものルートにかけて答えを出しても、誰も理解してくれないだろう」とプロ−ディ委員長は警告した。

原題:EU-Kommission stellt sich auf Seite der kleinen Mitgliedstaaten
Bei Regierungskonferenz ueber EU-Reform - Jedes Land soll auch kuenftig einen Kommissar stellen duerfen